カテゴリー: 公共、住宅 (page 38 of 53)

188. 実は使いにくいエレベータのタッチセンサーボタン


素手と手袋で
エレベータのボタンを押している写真

触れるだけで押したことになるタッチセンサー式のボタンを採用しているエレベータをよく見かけます。

みなさん、このタイプのボタンで困ったことはありませんか?夏場はあまり問題ないのですが…、冬場手袋をしているときには、このタイプのボタンはいくら押しても反応してくれません!

手袋くらい脱げばいいとお思いかもしれませんが、買い物帰りで両手に荷物を持っていたら?重たい荷物を持ったまま、腕を上げてボタンを押してみたものの、反応がない…そのときの落胆は、思いの外大きかったりします。両手がふさがっている時に手袋を脱ぐという行為は大仕事です。

ここで問題なのは、タッチセンサー式である事と、それに加えてその多くは、従来の押し込み型のボタンなのか、そうでないのかが、一目で分からない形状になっているという点です。

どうしても、タッチセンサー式にしたいのであれば、誰が見てもタッチセンサーだと分かるようなボタンのデザインにしてほしいものです。(例えば、一枚板にボタンとなる部分がプリントしてあるなど)

以下に、タッチセンサー式ボタンの利点と問題点をあげてみます。

●利点●

  • ○力を入れなくても押せる
  • ○可動部分が少ないので、故障が少ない(?)・メンテナンスが楽(?)

●問題点●

  • ×素手で触らないと反応しないが故に手袋をしていると押せない。
  • ×触っただけで反応するので、視覚障害者がボタンを探すときに触れただけで反応
    してしまう。結果、降りたくもない階で停止してしまう。
  • ×タッチセンサーは、まれに体質によって反応しない場合がある。

●改善するには●

以下のようなことが考えられるのではないでしょうか?

  1. 従来の押し込み型ボタンに戻す。
  2. 押し込み型かタッチセンサー式かを明記するか認知できる形状にする。
  3. 押し込み型のボタンにタッチセンサーも設置する。
     その際は、視覚障害者が不用意に触れないようにセンサー部分をボタンのサイズに対して小さくする。
  4. パネルとボタンに一定の段差を持たせる。
  5. 押した時に音声などで押されたことをフィードバックする。
  6. 押したボタンをキャンセルできるように、キャンセルボタンもしくはその方法を明記する(点字でも対応)

今回の例は製造・メンテナンス側の事情と、ユーザー側の事情がかみ合わない、典型的な例ですね。便利にしたつもりが、思わぬ弊害を生んでしまう。便利な新しい技術も使う場所を間違えると逆効果に…どんどん新しい技術を使うのも良いですが、そのことばかりに目がいってしまってユーザー側のことを忘れてしまわないようにしたいですね。

北国にはタッチセンサー式のボタンのエレベータは少なかったりするのでしょうか?気づいた方は是非ご一報ください!

関連ページ
静岡県 福祉のまちづくり条例 施設整備マニュアル 3-3.視覚障害者兼用エレベーターに関する標準

187. いくら回しても水が出ない蛇口


久しぶりに会った友人と喫茶店に入った時の出来事です。

私達は、手を洗いに行きました。
先に手を洗う友人を眺めていたところ、ハンドルを回しているのに、水が出る気配が
全くありません。
回してもダメなので、上部を押してみると…水が出ました!
私達は、PUSH式の水洗金具だということに気付きました。

プッシュ式
蛇口のついた洗面台の写真とプッシュ部の拡大写真

なぜ、友人はハンドル式と間違えて回してしまったのでしょう?

まず、水洗金具全体をパッと見た時、ハンドル式の水洗金具と大きさがさほど変
わりません。
また、水洗金具の上部をよ〜く見ると、「PUSH」の文字がありますが、光が反射する為角度によっては見づらいです。ユニバーサルデザインの観点からみても、この文字表記だけでは分かりにくいです。

そこで私は「押す」ということを、うまくアフォードしている例が他にないか探してみました。

こちらは、「押す」ことが分かりやすい形の例です。
水洗金具の形が丸ではない為、回せるようには見えません。手前側に倒せそうだと分かります。

「おす」と
書かれたプッシュ部を持つ洗面台の写真

このように、配慮を重ねることで「押す」ということをもっとアフォード出来ることが分かります。

186. エスカレータ、動く歩道では左右どちらに立つか?@アムステルダム編


使いやすさ日記の読者の方から、日記ネタの投稿をいただきました。

読んで頂くとわかりますが、関西の方です(笑)。

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エスカレータや動く歩道では左右どちらに立つのが一般的なのでしょうか? 

東京では左に立ち、急ぐ人は右側を歩いていきます。一方大阪では左右逆で、右に立ちます。このように日本では左右が地域によって異なっていますが、世界的には“右に立つ”が主流かもしれません。

通路全体の写真
サインの拡大写真

写真は、アムステルダム/スキポール空港の歩く歩道です。

立ち止まる人は“右”、歩く(追い越す)人は“左”となっています。

ご丁寧に、オランダ語?、英語、ピクトグラム に加え、上部の黄線も静止するイメージ(連続線)と歩くイメージ(破線)であらわしています。

残念なのはサインパネルの色が天井色と近く、また掲示位置が高いため、ちょっと気づきにくい事でしょうか?

(実を言うと、ココを利用するのは今年に入って6回目なのですが、やっとこのサインに気が付きました。)

動く歩道に乗るときには、足元に気を払って下を見ているので、サインの場所としては、デトロイトのもの(パレットに直接書いてあります)の方が、秀逸かもしれません。

米国、欧州と“立ち止まるのは右”でした。

ということで、大阪流が世界的には主流ということが判明しました??? (^^;)

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他の国ではどうなのでしょうか?

情報をお持ちの方、ご連絡をお待ちしております(^_^)

(佐藤)

2003/9/26日補足

岩崎さんより、「そもそもエスカレータの上を歩くことは推奨されていない」という情報をお寄せいただきました。エレベーター協会東京都交通局もこういった呼びかけをしているとのことです。首都圏のエスカレーターってとんでもない落差のものもありますし、人も多いので、誰かが転倒しようものなら被害は甚大です。我々も気をつけなければいけませんね。

関連ページ
使いやすさ日記 『33. 駅のエスカレーターは右側通行?』
使いやすさ日記 『98. 左側を歩いてください?』

185. どちらに乗ればいい?~駅の案内板


上司との待ち合わせの為、自宅から小田原駅に向かった時の出来事です。

初めて降りる乗り換えポイントの相模大野駅にさしかかりました。遅刻をすると大変なので時間に余裕をもって家を出ましたが、やはり乗り換えは緊張します。

私は『小田原方面』へ乗り換える為、ホームの電光案内板を見て、2番線の電車に乗りました。しかし、しばらく乗っていると別の方向に進んでいることに気付き、慌てて気付いた駅で降りました!どうやら間違えて『片瀬江ノ島方面』に乗ってしまったようです。

危うく遅刻しそうになりましたが、2回目は駅員さんにも確認し無事間に合いました。しかし、なぜ間違えたのか分からなかったので、帰りにもう一度、電光案内板を観察することにしました。帰りに撮影した写真なので、問題が起きた時と表示内容が異なっていますが、以下をご覧ください。

相模大野駅 電光案内板

情報は、以下の順番で表示されています。

のりば/種別/行先/発車時刻/両数/分別位置/備考/のりば

ここで注意したいのは、次のポイントです。

  • 1番線(写真の右側)には、『片瀬江ノ島方面』が到着する
  • 2番線(写真の左側)には、『小田原方面』と『片瀬江ノ島方面』が到着する

私が電車を乗り間違えた原因は、矢印を見落とし、2番線に入った『片瀬江ノ島方面』の電車を『小田原方面』と思い込み、乗ってしまったからだと推測できます。

ここで1つ提案があります。

「のりば」の矢印は、1ケ所にまとまっていたほうが、わかりやすいと思います。

相模大野駅 電光案内板(提案)

なぜなら、両端に矢印が配置されていると視線移動が大きい為、全体を把握しづらいからです。また、矢印と次の項目の間に縦のスペースを開けたほうが、見やすいレイアウトとなります。

ホームの電光案内板は、初めて利用する方も多数いるので情報を整理し、着目するポイントが分かるようにする配慮が必要です。

183. もうすぐバス停にバスがくる!~京都編~


先日夏休みをいただき、京都へ寺めぐりの旅に行ってまいりました。夏の京都は暑く、明るく、蝉の声がこだましていて、クーラー地獄の日々から脱出できた喜びでいっぱいでした。しかし、坂につづく坂。お寺には坂がつき物ですが、階段を上り降りしているうちに大分くたくたになっていました。

そんな時バスを待っていると、ふと、バス停の案内板に目を奪われました。真っ黒だった案内板の一面に黄色い丸印が表示されたのです。そこには、バスの絵が描かれていました。三つ前の停留所を出発しました、ということなのでしょう。二つ前の停留所、一つ前の停留所の所にも、この丸印のつくスペースがありました。

「当停留所までの三ステップ案内」

バス停で、到着時間を示すものとしては、以前の日記『69. もうすぐバス停にバスがくる!』でも扱っていますが、今回のバス停で私が親切だと感じたのは以下の点です。

・近づいていることが注目しやすい。
黒と黄色のコントラストが強く目立ちやすい!
・丸印の位置で、遠くからでも近づき具合が確認できる。
列の後ろに並んでいてもインジケータの変化に気づくことができます。
・バスが遠い時は何も表示されない。
バスが遠い時には緊張せずに待つことができ、バスが近づいた時にはフィードバックの更新頻度にあわせて詳細が確認できます。
・丸印内にやわらかいメッセージがあり、バスのイメージなどを想像しやすい。
分かりやすさだけを考えるとただの黄色い丸になってしまいがちですが、その中にちょっとした情報を付加することで、和やかなインジケータになっていると感じました。

細かい待ち時間ではなく、“まもなくきます”という案内をされたからこそ、待ち遠しさを感じ、よりいっそう旅を楽しめたのかもしれません。このゆっくりとした時間の流れも京都の風情なのだと感じることができました。

関連ページ
使いやすさ日記『30. 信号待ち〜より良いインジケータの提案』
使いやすさ日記『69. もうすぐバス停にバスがくる!』
使いやすさ日記『162. 待ち時間が見えるエレベーター』

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