素手と手袋で
エレベータのボタンを押している写真

触れるだけで押したことになるタッチセンサー式のボタンを採用しているエレベータをよく見かけます。

みなさん、このタイプのボタンで困ったことはありませんか?夏場はあまり問題ないのですが…、冬場手袋をしているときには、このタイプのボタンはいくら押しても反応してくれません!

手袋くらい脱げばいいとお思いかもしれませんが、買い物帰りで両手に荷物を持っていたら?重たい荷物を持ったまま、腕を上げてボタンを押してみたものの、反応がない…そのときの落胆は、思いの外大きかったりします。両手がふさがっている時に手袋を脱ぐという行為は大仕事です。

ここで問題なのは、タッチセンサー式である事と、それに加えてその多くは、従来の押し込み型のボタンなのか、そうでないのかが、一目で分からない形状になっているという点です。

どうしても、タッチセンサー式にしたいのであれば、誰が見てもタッチセンサーだと分かるようなボタンのデザインにしてほしいものです。(例えば、一枚板にボタンとなる部分がプリントしてあるなど)

以下に、タッチセンサー式ボタンの利点と問題点をあげてみます。

●利点●

  • ○力を入れなくても押せる
  • ○可動部分が少ないので、故障が少ない(?)・メンテナンスが楽(?)

●問題点●

  • ×素手で触らないと反応しないが故に手袋をしていると押せない。
  • ×触っただけで反応するので、視覚障害者がボタンを探すときに触れただけで反応
    してしまう。結果、降りたくもない階で停止してしまう。
  • ×タッチセンサーは、まれに体質によって反応しない場合がある。

●改善するには●

以下のようなことが考えられるのではないでしょうか?

  1. 従来の押し込み型ボタンに戻す。
  2. 押し込み型かタッチセンサー式かを明記するか認知できる形状にする。
  3. 押し込み型のボタンにタッチセンサーも設置する。
     その際は、視覚障害者が不用意に触れないようにセンサー部分をボタンのサイズに対して小さくする。
  4. パネルとボタンに一定の段差を持たせる。
  5. 押した時に音声などで押されたことをフィードバックする。
  6. 押したボタンをキャンセルできるように、キャンセルボタンもしくはその方法を明記する(点字でも対応)

今回の例は製造・メンテナンス側の事情と、ユーザー側の事情がかみ合わない、典型的な例ですね。便利にしたつもりが、思わぬ弊害を生んでしまう。便利な新しい技術も使う場所を間違えると逆効果に…どんどん新しい技術を使うのも良いですが、そのことばかりに目がいってしまってユーザー側のことを忘れてしまわないようにしたいですね。

北国にはタッチセンサー式のボタンのエレベータは少なかったりするのでしょうか?気づいた方は是非ご一報ください!

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