カテゴリー: 自動車 (page 8 of 11)

212. 駐車禁止!停めると痛そうな道路標識


昨年、シンガポールへ会社の人達と旅行した時のことです。 街中を散策していると、道路のある一部にギザギザのペイントが施されているのに気が付きました。

道路の脇に黄色でジグザグのラインが引かれている

最初は「これもお国柄で、何かの模様なのかしら?」などと呑気なことを考えていましたが、ワイワイ議論した結果、「こんなギザギザした所に車で乗ったら痛そうだから、駐車禁止という意味だ!」ということに落ち着きました。  日本に戻って本来の意味を調べたところ、「この先横断歩道があるため、追越し・駐停車禁止。歩行者は横断禁止。」という意味だそうです。歩行者も横断禁止!いやぁ、キビシイ。

それにしても、見た目の印象ってすごいですね。意味を知らない私達が、「ギザギザしてて、車だったら近寄りたくない」という結論に達したくらいです。地元の歩行者ならばここを横断しようという意識も薄れそうですね。なによりドライバーには、「ここには止めたくない」とか「スピードを落とそう」という意識が働くのかなと思いました。

このように、誰もが「したくない」、または「してはいけない」と感じられる視覚的表現を用いた道路標識。国境を越えたすばらしいガイダンスだと思いませんか?

関連ページ
Expat Singapore

202. 車のドア鍵~色と形でわかる例


以前の日記「180. 車のドア鍵〜赤は鍵が開いている?〜」で、車のドア鍵は、色の変化だけで状態を表すのではなく、形にも何か工夫があったほうがわかりやすいのでは?と感じたことを書きました。

今回は、わかりやすい例として、トヨタ自動車「ラウム」を紹介したいと思います。ドアハンドルの下についている鍵の部分に着目してみてください。

後部座席のドアハンドル

左の写真は鍵が掛かっている時、右は鍵が開いている時です。

ドア鍵

鍵が掛かっている時は、ツマミが収納されると同時に、上部に貼られた赤色のシールが見えなくなります。鍵が開いている時は、ツマミが手前に引き出され、上部に貼られた赤色のシールが見えるようになります。

このように色と形の両方に変化がある為、色だけの変化より「ドアの鍵が開いているので危険」ということが直感的にわかりやすいと感じました。また「ツマミが引き出されている時は、鍵が開いている」というルールは、以前乗っていた車と同じなので改めて覚え直す必要がなく、違和感なく操作ができました。

余談ですが、ラウムの後部座席のドアハンドルには、スライドしたい方向へ少し引くと、あとは手に力をいれなくても自動的に横方向へスライドする「パワースライドドア」が採用されています。この横方向へスライドするドアとハンドルに合わせて、鍵も横方向にスライドします。また、ドアハンドルと鍵は共に手前へ引くと「開ける」、向こうへ押すと「閉じる(掛ける)」ことができます。

196. カーナビGUIにおける言語障壁~外国人の方にカーナビを教えに行ってきました~


先日、弊社の登録モニターの方がユーザテストに参加してくださった時に、「隣に住んでいるドイツ人がカーナビを使っているんだけど、画面の表示もマニュアルも読めなくて困っている。かわりに私がマニュアルを読むんだけど、日本語は読めても機械が苦手で内容は理解できない。」と苦労話を語ってくださいました。

難しい機械の説明を(しかも今回は英語で)かみ砕いて説明してほしい。そいう時こそ使いやすさ研究所突撃隊(仮称)の出動です。  ということで、早速お宅訪問して来ました。相手は30代のドイツ人女性。幸い英語がOKだったのでσ(^^)でもなんとかコミュニケートできました。1時間半ほどあれこれ説明をしてきたんですが、その中で現在のカーナビを外国人が使う上での障壁が色々と見えてきたので、ご紹介したいと思います。

メニュー項目が読めない

彼女はディーラーに頼んで英語での案内に対応した機種を指名買いしたんだそうですが、残念ながらGUIメニューはすべて日本語。まったく読めません。そこでメニューの各項目を1対1で内容を説明しようとしたんですが、彼女達にとっては漢字を“見”分けることすら困難なようで、手元に手書きでノートをとっているんですが、その元の漢字表示を書き写すことができないんです。一生懸命形をマネして書こうとするんですが、結局自分でもわからなくなって、適当にグチャグチャっと書くしかない様子でした。MacOSやWindowsのようなガイドラインのしっかりした環境では字が読めなくても、「上から何番目の項目」という覚え方ができます。ところが、カーナビのメニューはスクロールをするため、その作戦も使いにくいのです。スクロールがループしちゃうようなのは特に厳しいですね。

各メニュー項目にインデックス番号が振ってあるだけで、外国人の方には随分楽なんだろうなと思いました(「1番は目的地設定です」という教え方/覚え方ができる)。

検索方法に制限

名称を入力して検索する方法は、多くの機種では読みを50音パレットで入力します。日本語がわからない外国人には漢字で与えられた文字列をひらがなにすることはできないワケなのでNGですね。また仮に「フルタさん」のように名前を音で知っているケースも、ひらがながわからなければNG。どうせ読み仮名情報をデータベースでもっているので、パソコンのようにローマ字入力もできるようになっていれば救えるケースは少なくはないのかも知れませんね。

また漢字が読めないということは、例え選択式メニューであっても住所検索などが使えないことになります。知人宅を訪問したりするのに、住所のメモをもらったとして、例えそれが日本語で書かれていても英語でかかれていても入力は困難です。メモと画面上のメニューとで漢字を同定することも困難ですし、そもそも日本の住所表記をパージング(都道府県名部分や市区町村部分に分割)すらツラいんでしょう(ご存じのように、カーナビは都道府県名->市区町村名->…というように順を追って選択していく方式)。

電話番号ならヨサゲなんですが、実際問題、プライバシー絡みの問題で、個人宅は収録していない機種や、していても確認で名字の入力を求められる機種がほとんどでこれもダメなんですよね。

また目的地が個人宅以外の場合、やはりジャンル検索とか周辺検索も厳しいですね。各カテゴリにわかりやすいアイコンが付いてると良いんでしょうね。

もちろんカーナビ設計のおいて、日本語の読めない外国人のユーザ・コンテクストを取り込むよりも優先順位の高い要件はたくさんあるでしょう。とはいえカーナビもいよいよ普及期に突入しようかという商品なので、こういったユニバーサルデザイン的な観点ももっと考慮に入れていってもらえるようになると良いなと思う出来事でした。

P.S.
 こういった活動は、我々にとっても道具が使いきれない人達の生の声を聞ける機会という意味で貴重な場です。必ずお伺いできるという約束はできませんが、なにか日常の道具利用で困っていることや疑問に思っていることがお有りでしたらお気軽にお寄せ下さい。

194. 止めた車はどこ?~西東京最大級のショッピングセンター


家族で「ザ・モールみずほ16」という大きなショッピングセンターへ、車で出かけた時の出来事です。

父が、国道16号をしばらく運転していると横長の大きな建物と広い駐車場が見えてきました。たくさんの車が止まっていましたが、待たされることなく駐車し、さっそく店内へ入りました。

店内をあちこち周り買い物を楽しんだ後、そろそろ帰ることになりショッピングセンターを出ました。再び、駐車場に向い車を探すと、なんと止めたと思っていた場所に車がありません!

父は困った表情をしながら、「こっちのほうだっけ?」と5分程あたりを探しましたが、見つかりませんでした。「広すぎて見つからないのかしら?」と首をかしげながら、考えた末「分からないけれど、建物の反対側も駐車場なのかも?」と父が言いました。私達は、半信半疑のまま、再びショッピングモールに入り反対側へ出ると、こちら側にも駐車場がありました!その時、建物をはさんで両側に駐車場がある構造だということをようやく把握し、車も見つかりました。ホッ…としながら、私達は「初めて来た場所とはいえ、もう少し案内板が出ていれば迷わずに済むのにね」と話しました。

以下に3つの問題点を挙げます。

  1. 建物をはさんで両側に駐車場があることが把握できない
  2. (2回目に散策した時、建物全体を表す地図を入口から離れた場所で見つけました)

    建物と駐車場の配置
  3. 建物の表側と裏側は風景が似ている


  4. 北口側


    正面口側
  5. 北口、正面口の入口が似ている為、判別できない
  6. 北口/正面口の入口

大きなショッピングモールでは、全体を把握しづらい為、少なくとも入口の方角を示した看板等は容易に判別できるようになっていると良いですね。例えば、入口を通る際見える場所に全体を表す地図がある、または看板の色をかえる、アルファベット等を見やすい大きさで表示する等が考えられます。

このような、手がかりとなる表示があると安心して買い物ができると思います。

183. もうすぐバス停にバスがくる!~京都編~


先日夏休みをいただき、京都へ寺めぐりの旅に行ってまいりました。夏の京都は暑く、明るく、蝉の声がこだましていて、クーラー地獄の日々から脱出できた喜びでいっぱいでした。しかし、坂につづく坂。お寺には坂がつき物ですが、階段を上り降りしているうちに大分くたくたになっていました。

そんな時バスを待っていると、ふと、バス停の案内板に目を奪われました。真っ黒だった案内板の一面に黄色い丸印が表示されたのです。そこには、バスの絵が描かれていました。三つ前の停留所を出発しました、ということなのでしょう。二つ前の停留所、一つ前の停留所の所にも、この丸印のつくスペースがありました。

「当停留所までの三ステップ案内」

バス停で、到着時間を示すものとしては、以前の日記『69. もうすぐバス停にバスがくる!』でも扱っていますが、今回のバス停で私が親切だと感じたのは以下の点です。

・近づいていることが注目しやすい。
黒と黄色のコントラストが強く目立ちやすい!
・丸印の位置で、遠くからでも近づき具合が確認できる。
列の後ろに並んでいてもインジケータの変化に気づくことができます。
・バスが遠い時は何も表示されない。
バスが遠い時には緊張せずに待つことができ、バスが近づいた時にはフィードバックの更新頻度にあわせて詳細が確認できます。
・丸印内にやわらかいメッセージがあり、バスのイメージなどを想像しやすい。
分かりやすさだけを考えるとただの黄色い丸になってしまいがちですが、その中にちょっとした情報を付加することで、和やかなインジケータになっていると感じました。

細かい待ち時間ではなく、“まもなくきます”という案内をされたからこそ、待ち遠しさを感じ、よりいっそう旅を楽しめたのかもしれません。このゆっくりとした時間の流れも京都の風情なのだと感じることができました。

関連ページ
使いやすさ日記『30. 信号待ち〜より良いインジケータの提案』
使いやすさ日記『69. もうすぐバス停にバスがくる!』
使いやすさ日記『162. 待ち時間が見えるエレベーター』

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