先日、弊社の登録モニターの方がユーザテストに参加してくださった時に、「隣に住んでいるドイツ人がカーナビを使っているんだけど、画面の表示もマニュアルも読めなくて困っている。かわりに私がマニュアルを読むんだけど、日本語は読めても機械が苦手で内容は理解できない。」と苦労話を語ってくださいました。
難しい機械の説明を(しかも今回は英語で)かみ砕いて説明してほしい。そいう時こそ使いやすさ研究所突撃隊(仮称)の出動です。 ということで、早速お宅訪問して来ました。相手は30代のドイツ人女性。幸い英語がOKだったのでσ(^^)でもなんとかコミュニケートできました。1時間半ほどあれこれ説明をしてきたんですが、その中で現在のカーナビを外国人が使う上での障壁が色々と見えてきたので、ご紹介したいと思います。
メニュー項目が読めない
彼女はディーラーに頼んで英語での案内に対応した機種を指名買いしたんだそうですが、残念ながらGUIメニューはすべて日本語。まったく読めません。そこでメニューの各項目を1対1で内容を説明しようとしたんですが、彼女達にとっては漢字を“見”分けることすら困難なようで、手元に手書きでノートをとっているんですが、その元の漢字表示を書き写すことができないんです。一生懸命形をマネして書こうとするんですが、結局自分でもわからなくなって、適当にグチャグチャっと書くしかない様子でした。MacOSやWindowsのようなガイドラインのしっかりした環境では字が読めなくても、「上から何番目の項目」という覚え方ができます。ところが、カーナビのメニューはスクロールをするため、その作戦も使いにくいのです。スクロールがループしちゃうようなのは特に厳しいですね。
各メニュー項目にインデックス番号が振ってあるだけで、外国人の方には随分楽なんだろうなと思いました(「1番は目的地設定です」という教え方/覚え方ができる)。
検索方法に制限
名称を入力して検索する方法は、多くの機種では読みを50音パレットで入力します。日本語がわからない外国人には漢字で与えられた文字列をひらがなにすることはできないワケなのでNGですね。また仮に「フルタさん」のように名前を音で知っているケースも、ひらがながわからなければNG。どうせ読み仮名情報をデータベースでもっているので、パソコンのようにローマ字入力もできるようになっていれば救えるケースは少なくはないのかも知れませんね。
また漢字が読めないということは、例え選択式メニューであっても住所検索などが使えないことになります。知人宅を訪問したりするのに、住所のメモをもらったとして、例えそれが日本語で書かれていても英語でかかれていても入力は困難です。メモと画面上のメニューとで漢字を同定することも困難ですし、そもそも日本の住所表記をパージング(都道府県名部分や市区町村部分に分割)すらツラいんでしょう(ご存じのように、カーナビは都道府県名->市区町村名->…というように順を追って選択していく方式)。
電話番号ならヨサゲなんですが、実際問題、プライバシー絡みの問題で、個人宅は収録していない機種や、していても確認で名字の入力を求められる機種がほとんどでこれもダメなんですよね。
また目的地が個人宅以外の場合、やはりジャンル検索とか周辺検索も厳しいですね。各カテゴリにわかりやすいアイコンが付いてると良いんでしょうね。
もちろんカーナビ設計のおいて、日本語の読めない外国人のユーザ・コンテクストを取り込むよりも優先順位の高い要件はたくさんあるでしょう。とはいえカーナビもいよいよ普及期に突入しようかという商品なので、こういったユニバーサルデザイン的な観点ももっと考慮に入れていってもらえるようになると良いなと思う出来事でした。
P.S.
こういった活動は、我々にとっても道具が使いきれない人達の生の声を聞ける機会という意味で貴重な場です。必ずお伺いできるという約束はできませんが、なにか日常の道具利用で困っていることや疑問に思っていることがお有りでしたらお気軽にお寄せ下さい。
コメントを残す