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340. わかりやすくなった公衆電話のボタン


横浜市営地下鉄の中川駅に、新旧2台の公衆電話が並んでいました。 新しい機種は古いものに比べてボタンが大きくなり、内側の文字も大きく太くなっています。視力に軽い障害のある方やお年寄りにも、見やすく押しやすくなりました。 

左:旧型公衆電話 右:新型公衆電話

かつてはビジネスマンがよく利用していた公衆電話ですが、今では携帯を持っていない人が利用している姿を見かけるくらいになりました。携帯電話の普及に伴い、公衆電話の利用者は激減したそうです。

出番が少なくなったとはいえ、携帯電話の充電が切れた場合や災害時など、 まだまだ公衆電話のお世話になる機会はありそうです。また公共性が高い設備ですので、 ユニバーサルデザインは重要なポイントといえるでしょう。

最近めっきり数が減ってしまった公衆電話ですが、実は地道な改善が続いているようです。こういった改善はぜひ継続して、全ての人に使いやすい公共設備に進化していって欲しいと思いました。

ご紹介:NTT東日本の福祉対策 http://www.ntt-east.co.jp/ptd/basis/welfare.html

339. 流し方のわからないトイレ


とあるデパートのトイレに入ったときのことです。いざ水を流そうとしたらレバーがなかったので、このトイレはセンサー式だと気が付きました。
そこで、写真1の赤丸部分がセンサーだと思い、 手をかざしてみましたが一向に流れず、焦ってしまいました。

写真1.トイレタンク前面

実は前面ではなく、タンクの左側面にセンサーが付いていたのでした(写真2)。

写真2.タンク左側面の水を流すセンサー

どうしてセンサーを探せなかったのか考えてみました。

  1. 写真1の赤丸部分が水を流すためのセンサーに見えて紛らわしい
  2. センサーが平らなため、正面からでは気が付きにくい
  3. タンクに貼ってあるシールの意図に気が付きにくい

特に問題だと感じたのは3のシールです。写真2はシールを拡大したものです。”水を大切に”というメッセージと”水の流し方”の説明が書かれていますが、 センサーの位置はここだ!とは示されていません。

このシールを貼った人はこれを用いてセンサーの位置を示したかったのだと思います。しかし、センサーの位置を示すために作られていないので、意図が伝わらなかったのではないでしょうか。

ちなみに、別の階のトイレには3枚ものシールが貼ってあり(写真3左)、そのうちの1枚には、センサーの位置が図で示されていました(写真3右)。やはり、このようなシールがないと探せないのでしょう。 

写真3.シールがたくさん貼ってあるタンク

水を流すというあたりまえのことがすんなりできないトイレ。これでは、トイレ待ちの行列ができるのもうなずけます…。

338. 路線図から行き先をタッチ~シンガポールの地下鉄券売機


今回は、シンガポールの地下鉄MRTの券売機を紹介したいと思います。以前、使いやすさ日記メンバーとシンガポールへ旅行したことがあるのですが、そこの券売機は日本のものとちょっと違っていました。

シンガポールの地下鉄MRTの切符売り場

日本の券売機は、目的地までの運賃を選んで切符を購入するタイプが多いですね。運賃がわからない場合は頭上の路線図から目的地を探し、そこまでの運賃を確認しなくてはなりません。

MRTの券売機:路線図には駅名と路線名が記載され、路線上の丸にタッチして目的地を選択する

MRTの券売機には、路線図と情報エリアがあります。この路線図上の駅をタッチすると情報エリアに目的地までの金額が表示されるので、あとは必要な料金を投入するだけです。

情報エリアで設定をすればもっといろいろな使い方ができるようですが、「目的地までのチケットを購入する」だけであれば、とてもシンプルな使い方ですよね。 タッチする部分がちょっと小さくて押し間違いがあるかもしれないけれど、目的地と運賃の両方を路線図から探し、さらに液晶画面から運賃を探す煩わしさがないのは嬉しいです。なにより、上を見ずに済むので首が疲れなくていいなぁと感じました。 

337. もちやすいペットボトル ~ サントリー「ゆびスポットボトル」


2Lペットボトルの飲料をコップに注ぐときに、手を滑らしそうになることがよくあります。満タン時の2Lペットボトルは、その重さと大きさのために片手では少々持ちにくいです。そんなふうに思っていたのですが、先日買った「サントリー天然水」のボトルがとても持ちやすく作られていて驚きました。

凹みが指にフィットして持ちやすい

外観は通常のペットボトルとほとんど変わりませんが、手で持ったときに指が当たる部分が凹んでいて持ちやすくなっています。単純な凹みではなく、親指、中指、薬指がちょうど良くフィットする形状となっています。凹みはボトルの中央部にあり、ボトルを傾けたときに親指でボトルの中央(重心となる位置)を支える事ができるのでとても安定した状態で注ぐことができます。

このボトルは「ゆびスポットボトル」と名付けられており、2006年2月からサントリーの2Lペットボトル全商品で採用されています。ペットボトルが単なる容れ物としてでなく、注ぐための道具として進歩していることが伺えると思いました。

調度この記事を書いていた9月8日の朝日新聞『時評圏外』にて、この「ゆびスポットボトル」が「いいデザイン」という言葉を添えて紹介されているのを発見しました。持ちやすさを考慮したボトルは各飲料メーカーで開発されており、それに対する注目も集まっているようです。飲料メーカーの「使いやすさ」に対する意気込みが汲み取れると同時に、「使いやすい=よくデザインされている」という認識が社会に浸透してきていることがわかる、なんとも嬉しくなる一品でした。

<参考>持ちやすさ、注ぎやすさを考慮したペットボトル商品

336. 等身大トイレマーク!


アメリカのラスベガス、マッカラン空港内を歩いていたときのことです。トイレの前を通ったとき、トイレマークがぱっと目に飛び込んできました。それは、トイレの入り口から見て突き当たりの壁に描かれた、等身大サイズのトイレマークでした。おっ、なるほどここがトイレか、と思いました。

そのあと、飛行機の時間を待っている間にトイレに行こうと思ったときも、広い空港内で、この大きなマークはすごく見つけやすかったです。

トイレを探すときって、早く見つけたいと思うものですが、マークが主張して目立ちすぎてしまうのも、あまりうれしくないですよね。『私、トイレ行きます!』と宣言しているみたいで、ちょっと恥ずかしい気がします。

このマークの正面に立ったときのインパクトには、すごいものがあります。トイレに行こうとしたときに、ここで間違いない、という安心感が得られます。また、入り口から奥まったところにあるので、トイレの正面からずれると見えなくなります。そのため、景観を乱すこともありません。

トイレに行くという目的を持って行動するときには主張して、そうでないときには気にならない。1つのマークの役割や感じ方が、見る人の状況によって変わることもあるのだなと感じました。 

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