カテゴリー: 公共、住宅 (page 11 of 53)

627. 風情をかもし出す ふすまの採光スリット


温泉旅行と言えば温泉がメインですが、今回は宿選びにもこだわってみました。贅沢な食事やお風呂を満喫して、さて寝るときのことです。

わたしは真っ暗でないと寝付きが悪いので、自宅では部屋の明かりを全て消して寝ています。しかし、旅館は自宅とは違い慣れない空間です。明かりを全て消してしまうと、夜中に目が覚めてトイレに行くときなどに、どこに何があるかがわからず足元に少々不安を感じます。

多少のリスクはありますが、眠れないと嫌なので部屋の明かりを消しました。室内の電気のスイッチは枕元付近の床の間下部にあり、起き上がらなくても消灯できるように配慮されているんだなぁと感じたのですが、配慮はそれだけではありませんでした。ふと部屋の入口の方を見ると、足元がぼんやりと照らされています。 

ふすま下部にスリットがあり、隣の部屋の光が足元を照らしてくれる

ふすまに採光用のスリットがあるので、隣の部屋(玄関)の光が入ってくるようになっており、間接照明の役割を果たしていました。もちろん玄関の明かりを消していたらこの仕掛けには気付きません。しかし、間接的な照らし方には風情があって旅館のこだわりを感じました。

翌朝、宿の人に聞いてみると、やはり採光用に意図して設計されたことがわかりました。その証拠に玄関の明かりは部屋の明かりとは別の単独スイッチになっており、つけたまま就寝できるようにという意図があるそうです。ホテルなどでは足元を照らすためにフットライトが設置されていることもありますが、自分で明かりをつけるのではなく、部屋を暗くすると明かりがついていると気付ける点に、奥ゆかしさを感じます。宿泊者が旅館で心地よく過ごせる様に配慮されており、宿選びにこだわった甲斐があったなぁと、満足しました。

[補足]

ちなみに、このスリットは採光だけでなくエアコンの風を循環させる目的もあるそうです。エアコンの吹き出し口は室内にあり、吸い込み口は玄関の頭上にある構造になっています。このため、ふすまを閉め切っても風が循環するようです。この旅館の設計士が手がけた他の旅館も、この手法を採用しているとのことです。

625. 和式トイレのつかいかた


休みに友達と日光に行ってきました。現地のコンビニでトイレを借りたのですが、正面の壁におもしろい張り紙を見つけ、思わず記念写真を撮ってしまいました。

和式トイレの張り紙

この張り紙、見ての通り和式トイレの使い方を説明しているのですが、日本人から見るとちょっと笑ってしまうような内容ですね。しかし日光には世界遺産に登録されている社寺があり、外国人観光客も多く見られました。彼らにとって見慣れない形をしたトイレは使い方に戸惑ったり、間違った使い方をしてしまったりと、問題が絶えないのでしょう。さまざまな言語圏から訪れる人々に対し、和式トイレの使い方が文字を介さずに絵だけで表現できているため、シンプルでよくできていると思いました。

ただ、残念ながらこれでもまだ問題解消とはいかないようです。日本では、丸印を「正しい」の意味で使いますが、その使われ方は万国共通ではありません。また、マークの形だけではわからない人が、その色で判断しようとした場合、赤を信号のように禁止の意味でとってしまうかもしれません。より誤解されにくくするために、国際的な記号の使われ方を考慮した上で、以下のような案を考えてみました。 

改善案

基本的な形は統一し、色の違いと斜線の有無で和式トイレの使い方を表現しました。さらに張る場所を考えると、正面と背面に張ることで、どちらを向いた人にも対応でき、より親切になると思います。

624. ワンコの習性を利用したはみション対策


我が家の末弟アル(ヨーキー、6才)はワンコの習性で片足をあげておしっこします。彼は「トイレシートは用を足すところ」という理解をしているようなのですが、足を上げる方向までは考えていないので、すまし顔でシートの外におしっこしていることがあります。おしい、ちょっと違う!でもこの子にこれ以上は無理なのかも。

…そうあきらめて素早い掃除を心がけていたある日。街をフラフラしていたら、ワンちゃんOKのカフェの前で面白い犬用トイレをみつけました。トイレシートを敷き、その上にトイレシートを巻きつけた瓶のような物が置いてあります。気にして見ていると、お他所の犬たちは瓶に向けて上手におしっこしているではないですか。これです!これならうちの子にもできるはず!

さっそく我が家でも試してみることにしました。待つこと数十分。いそいそとやってきたアルはおもむろに片足をあげました。私と母と祖父が固唾をのんで見守る中、そのおしっこは美しい放物線を描いてトイレシートに吸い込まれていきました。感動です。かくして、おしっこ犬で有名だったアルはめったに粗相をしない、かしこいワンコに進化を遂げたのでした。

はみション対策実践中

皆さんもワンコが電柱などにおしっこをかける姿を見たことがあると思います。この習性は、より高いところにおしっこをかけて自分の存在とテリトリーをアピールするためなのだそうです。はみションをみつけるたびに「シートの真ん中に向けるんだよ!すまし顔してもダメ!」としかったりもしたのですが、少し高いところに的を作ってあげるだけで、失敗を減らすことができたんですね。今までしかってゴメンよ…!

◆関連リンク:533. 洋式便座に “ロックオン”~ターゲットポイントが付いている洋式便座~
http://usability.ueyesdesign.co.jp/diary/533.html

こちらは人間の殿方のはみション対策ですね!

622. 流し方のわからないトイレ パート3


少々はしたないお話ですが。。。
それはレストランでトイレに入った時のことでした。

”仕事”が終わり、さあ流すぞと思ったその時のことです。

「ない!!!」

そう、タンクの横にあるはずの、大切な水を流すためのレバーがないのです。私はパニックになりました。人として、大人としてこのまま放置しておくことなどできるはずなどありません。

せまい室内をいろいろと、苦労して捜索し、それをやっとのことで見つけることが出来ました。なんと、トイレのコントロールパネルの上面にボタンがあったのです。下の写真を見ていただければ分かると思いますが、必ず使うボタンなのにもかかわらず、便座に座っている時には極めて見つけにくい位置に付いているのです。

写真:側面の壁に取り付けられた、トイレのコントロールパネル

パネルの前面には、ボタンがあることを示す文字が書いてあるのですが、ほかのシャワーなどのボタンに比べると、きわめて目立ちにくく、そもそも壁についている薄型のパネルのため、まさかボタンが上面にあるなど思いもよりませんでした。さっきシャワーを使ったにもかかわらず、気付くことができなかったのです。

友達にこの話をしたところ、同じ経験をしたことがあったそうで、その時は、お店の人が張っていた、紙に書かれた矢印によって、気づいたそうです。

水を流すということは、トイレにおける”仕事”を完遂する上で絶対やらねばならないコトですから、気づきやすい位置にレイアウトしてほしいものです。

※他の流し方の分からないトイレシリーズは他にもあります。

 こちらもご参照ください。

620. 混雑状況が一目でわかる!?~ヘアカット専門店のシグナル~


私がよく利用する駅には、ホームにヘアカット専門のお店があります。

QBハウス店舗

このお店は「QBハウス」というチェーン店で、駅構内やショッピングセンターに多く出店されています。10分間でカットができるという“早さ”がウリで、時間に余裕の無い人にも気軽にカットしてもらえるように、様々な工夫がされています。

お店の混雑状況を示すシグナル

その工夫のひとつが、お店の混雑状況を示すシグナルです。
点滅する色が、緑色ならすぐにカットできる、黄色なら5~10分待つ必要がある、赤色なら15分以上は待つ必要がある、といった具合に、離れた場所からでも待ち時間を把握することができる、というものです。

しかし、私は駅を利用する度にこのお店を目にしていたのですが、文字で書かれた説明を見るまでシグナルの点滅ルールがさっぱりわかりませんでした。
このシグナルからお客さんが混雑状況を察してくれれば、店員さんは接客する時間を減らせるのでありがたい工夫だと思います。しかし、せっかくのシグナルがお客さんに伝わりにくければ、その効果は十分とは言えないでしょう。

もっとお客さんに伝わりやすく、お客さんと店員さん双方が使いやすいシグナルを考えることができれば、電車を待つ間のちょっとした空き時間をうまく利用して、カットする人が増えるかもしれませんね。

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