肩こりとは無縁の私とは対照的に、私の父親は体のあちこちが“こる”ようで、昔からサロンパスを貼ってあげていました。

“こり”の味方、サロンパス

首の後ろや背中といった、本人が自分では貼りにくい部分が私の受け持ちです。背中越しのためか、父親からの指示はいつも大ざっぱで、サロンパスを手にした私が「ここらへん?」「あと何枚?」などと貼る位置や枚数を何度も確認していたことを覚えています。こっている本人にとっては「早く貼って」という気持ちでしょうが、どこに貼ればいいのかわからない私としては目標が定まり切らず、まごまごしてしまうのです。そんなことを繰り返すうちに、サロンパスを渡されるとつい構えてしまうようになっていました。

それから数年後・・

新郎新婦が初めての共同作業を行うCMでお馴染みの「介の字貼り(すけのじばり)」が、サロンパスを貼るときの苦手意識を払拭してくれました。

「介」の字に貼るから「介の字貼り」

というのも、「介の字貼り」の登場以来、それが一つの貼り方の目安となったからです。
なにやら、首、肩、背中は僧帽筋(そうぼうきん)という一つの筋肉で繋がり、互いに影響し合っているため、こりをほぐすにはこの3箇所に貼るのがよいらしく、そのことを、誰もがイメージしやすい「介」という字になぞらえて表現したのでしょうね。
おかげで、要領のわからない私のような人でも、目安をもとに細かな要望にも対応しやすくなりました。一方、貼ってもらう側にとっても、背中にうんと手を伸ばして指示しなくてもよくなり、ずいぶん説明が楽になったようです。

商品のネーミングがその用途や機能を説明する例は見られますが、貼る側と貼られる側の意思疎通を円滑にしたというところに、「介の字貼り」というネーミングの効果が凝縮されているのでしょう。ネーミング一つで、意識や使い勝手まで変えてしまうことに、言葉の持つ奥深さを感じました。

《参考》

「介の字貼り」効果
http://www.salonpas.jp/pc/campaign/explanation.html