雨降りの日に、処方せん薬局へ薬をもらいに行きました。傘を持ったまま会計をするのは、両手が塞がって大変です。スムーズに薬をもらうために、まずはカウンター手前の台にカバンを置き、さて傘もどこかに掛けようと思ったら、カバンを置いた台の端、いいところに切れ込みがあるではありませんか。台の切れ込みに自然と導かれて、さっそく傘を入れました。

台の端にあった切れ込みに傘を入れました

会計を済ませ、「この切れ込み、傘を掛けておくのにちょうどいいですね」と薬剤師さんに話しかけると、「そうですね。あとはステッキを掛ける方もいらっしゃいますね。高齢の方とか、床に落とすと拾うのが大変な方もいらっしゃるので」と話してくださいました。最近薬局を改装されたそうで、台に施した切れ込みは改装時の工夫の一つだそうです。

そう伺って、この切れ込みがなぜ“L字”なのかをふと考えました。仮に単なる“直線”であっても、傘やステッキをカウンター側に立て掛けておくことはできます。そこを“直線”ではなく“L字”にしているのは、“直線”にただ立て掛けるよりも、“L字”に引っ掛けさせることでより確実に倒れるのを防ぐためではないでしょうか。“L字”だと出し入れが手間だという見方もできますが、薬剤師さんのお話を思い返しても、床に落としたものを拾うよりは少ない労力で済みそうです。

また、これは私の想像ですが、台の切れ込みが“直線”だと「なんだ?このへこみ。もしかして欠けてる?」と思ってしまいそうなところを、切れ込みが “L字”だと、そこに“傘やステッキ置き場”という意図があることがさりげなく伝わるように思います。私が切れ込みを見て「傘を入れよう」と思った理由は、その意図をキャッチしたからではないかと思います。…少し“L字”に軍配をあげすぎでしょうか。

ともあれ、「これなら会計中に傘やステッキが倒れて、慌てることも少なくなりそうだ」と薬局の配慮に感心して帰ってきました。