インターフェイスの世界で、アンビエント・インターフェイスというムーヴメントがあります。これは人間が周辺知覚情報を使って情報を得ていることを利用した考え方で、例えば自動車のエンジン音やコンピュータのHDDのカリカリいってる音を何気なく耳にして「あぁ今日もちゃんと動いてるな」と感じたり、急に音がかわると「あれ、何かおかしい」と気づくことができたりする。そういう情報チャンネルをもっと積極的に利用して、「ダイアログ等で常に明示的に出すとウザいけど、ユーザが気になったらちょっと意識を向けるだけで状態を把握できるさりげない”気配”による情報提示をしよう」という考え方です。

元はMIT(マサチューセッツ工科大)の石井裕教授率いるTangile Media Groupが提唱した概念で、彼らは例えば、ネットワークトラフィック等を風車の動きで表現したりといった実験を行っています。

さて、今回見つけたのは、アンビエントというにはちと明示的すぎるかも知れないんですが、ブラザーの新型レーザープリンターの例です。

こちらの写真で見られるように、液晶画面のバックライトの色で状態表示を行っているのです。プリンタの表示部って、一般的に小さくて、なかなか表示に気づきにくいのですが、このように異常時に赤くなっていれば、たまたま通りかかった人が紙切れなどのトラブルに気づいて手当てしてくれる可能性が高まるんではないでしょうか。

携帯電話のおかげで、バックライトの多色表示がこなれてきたのか、様々な製品に利用されるようになってきましたが、その多くはエンターテイメント用途でした。その中にあって、本製品は上手く使いやすさのためのフィードバック手法として利用していると言えるでしょう。

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tangible media group (MIT)
ブラザー HL-1670N/HL-1650製品情報