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40. 駅の自動改札を通るときに…


私は東急東横線の渋谷駅を通勤にいつも利用します。当然ですが、自動改札を通るとき切符を通さないと通過できません。そのとき切符は右手で通すことになります。いいかえれば、右手で通すことが普通です。それは写真のように、人が通る右側に切符を通す差込口が設置されているためです。ここで「自動改札は人間の右側で処理しなければならない」という制約が生まれます。


改札の写真

しかし、右手で荷物を持っているときに改札の前にくると荷物を持ち替えたり、そのまま左手で通さなければならない状況になります。また、左利きの人はおそらく左手に切符を持っている機会が多くなるのかもしれません。

しばらく改札の前で「切符を左手で差し込む人」に注目して見ていたのですが、それほど苦にはしていないように感じました。しかし、右手で処理する人はすんなりと通っているのですが、左手で処理する人は、一瞬立ち止まる人が多く見られました。

それほど大きな問題点ではないかもしれませんが、ユニバーサルデザインという観点からすると、左手でも処理できる自動改札があってもよいかと感じました。

39. 床のサイン


「36.東京駅のコンコースの木の葉」で、床にアサインされた図記号が紹介されましたが、下の写真のように、先日偶然似たようなものを見つけたので紹介します。

エレベータの案内が床にある

これはあるデパート内でエスカレータがある方を示しています。

このフロアでは上の階からエスカレータで下ってきた際に、さらに下るエスカレータが同じ場所に見当たりません。私も辺りを見回して探していたら、このサインを見つけたというわけです。意味することは一目瞭然で、デザインとしては大変OKなのですが、もし混雑して床が見えない場合はきっとエスカレータの在りかはわからないんでしょうね。

ちなみにはじめは頭上にそれらしき案内を探して見つからなかったので、これ以外の案内は無かったと思います。

この案内は混雑度合に関わらず、ユーザにとって必要な情報です。

床にあるのはOKですが、是非頭上か壁にも案内をつけて欲しいと思います。

38. 「閉」はいつまで押していればいいのか


エレベータの各階のボタンは、押すと各ボタンの照明が点きます。

このことによって、行き先として指示されている階、すなわちこれから止まる階をユーザに伝えている訳ですが、この照明は、「あなたのボタン操作を認識しましたよ」という操作そのものに対するフィードバックにもなっています。

ところで、エレベータにはあと2つボタンがありますね。そう、「開」と「閉」です。これがくせ者です。

たいていのエレベータでは、全てのボタンのデザインは同じデザインテイストになっています。ですから当然どのボタンに対しても同じメンタルモデルを適用しようとします。

しかし、この「開」「閉」ボタンを押したときのフィードバックは、エレベータの種類によって、大きく2つにわかれます。

押したときに、各階のボタンと同様に点灯するものと、何の反応もないものです。

後者では、「上手く押せたら照明が点く」というモデルは、各階のボタンにしか適用できません。同じモデルで接してしまうと、「閉」ボタンを押しても照明が点かないから、ちゃんと認識してくれたのか不安になってしまいます。僕はいつまで押していればいいんでしょうか。仕方ないので閉じ始めるまで押しているしかありません。

たったあれだけしかボタンも機能もないのに、開閉ボタンと各階のボタンとで、想定されるフィードバックに対するモデルを切り替えなければならないのです。

前者のように、「閉」ボタンを押したらボタンの照明が点いて、閉じきったら消える、というように、操作そのものに対するフィードバックが一貫性を持っていれば、自信を持って「閉」ボタンから指を離せるんですけどね。

37. 出られない出口


少し前、とある動物園に行ったときのことです。

この動物園へは、窓口で入場券を購入した後に、トンネルを抜けて入場するようにできています。入場するときには別段気がつかなかったのですが、動物園から出るときにトンネルの手前まで来ると、あれ?二つのドアがあってそれぞれに「入口」(図1左のドア)「出口」(図1右のドア)とあるではありませんか。

動物園の出口
図1

結論から言うとここでは「入口」から動物園を`出る´のが正解です。後で調べてわかりましたが、トンネルに設置されたドアは全てトンネルに対しての「出口」か「入口」かという表示で徹底してありました。

しかし動物園から帰ろうとしている人間にとって、出口から出たくなるのは至極当然の選択のような気がするのですが。

トンネルの中から撮影したのが2、3の写真です。トンネルから出るときの「出口」にはドア以外にも周辺に「出口」や「動物園入口」(図3)と一杯張り紙がしてありました。また反対のドアには「入口」でなく「ここからは出られません」(図2)とあります。

「出口」を裏から見ると 「入口」を裏から見ると
図2

図3

ここでの問題は「入口」か「出口」かということ以上に、なぜ使えないドアに「出口」という案内を行なっているかということです。開かないドアの方には進入禁止マーク(これ自体は免許がない人にとっての認知度がまた問題になるかもしれませんが)などこちらから利用できないことがわかるような案内をつけておけばよいと思うのですが。

1分くらいの撮影中、1組だけ動物園から帰ろうとする家族が通りました。彼らはやはり開かない「出口」のドアの前で数秒間を過ごすこととなりました。

36. 東京駅のコンコースの木の葉


先日(といっても1ヶ月前ですが)、読者の方からこのようなコメントを頂きました。

『東京に出張のたび、「単なるデザインだろうか? それとも、通行方向の誘導表示なのか?」と思ってしまうものがあります。どちらなんでしょう?

東京駅の中央コンコース?の床に、木の葉型をしたタイルが埋め込まれています。で、この木の葉型の一方に、菱形の金属が埋め込まれており、通路の右側と左側で反対方向を向いています。

見ようによっては、矢印の様でもあり、単なるデザインのようでもあり・・・・。歩いている人の進行方向はこの矢印?とは無関係にばらばらなので、誘導表示と認知されてはいない様ですが・・・。』

遅くなってしまいましたが、東京駅で写真を撮ってきました。

木の葉型のタイル 東京駅

確かに、木の葉型の一方に何やら金色の金属がついています。また、ご指摘のように方向性を意図してデザインされているようにも見受けられました。しかし、やっぱり誰もそんなことは気にも留めていないようです。

確かに、駅のコンコースで人混みの中を歩くのは結構大変ですから、階段のように片側通行になっていると楽に歩けそうです。

しかし、現在、これぐらい広いコンコースで進行方向を指示することはまずありませんので、足下の木の葉が実は進行方向を示しているなんて、一般的には想像すらしないでしょうし、たとえ明示的に進行方向を示した(矢印にするとか)としても、やはり有効に機能しないのではないでしょうか。

機能していないのですから有効性もないんですけど、現時点ではこの程度の緩やかな指示で丁度良いのかな、とも思います。まずは初めの一歩、でしょうか。

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