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110. アンカーの文言とリンク先の対応付け


写真はネット通販で買える商品の価格ランキングサイト「¥価格,com¥」のトップぺージです。

hoge
価格.comのトップページ(2001/8/6現在)

σ(^^)はここをよく利用するのですが、いまだに慣れない点があります。ご覧の通り、パソコン本体、パソコン周辺機器といった大項目と、その下により詳細な項目とが2階層で羅列されているのですが、実はこの詳細項目をクリックしても直接その項目のリストにジャンプできないのです。

例えば画面写真で「家電」の部分が既読色にかわっていますが、この部分がひとつのアンカータグになっていて、例えば「DVDプレイヤーが欲しいから」と「DVD」の部分をクリックしても、リンクさきは大項目の「家電」をクリックした場合と同じで、結局更に家電項目一覧のページから再度DVDを選択しなければなりません(しかも今後は文言がかわって「DVDプレーヤー」になっているから、探し直し)。yahoogooといったディレクトリサイトや、kakaku.comと同時に比べて使うであろうビックカメラのサイトなどの経験があると、かなりショックを受けます。

更に言うと、トップページの「パソコン本体」と「パソコン周辺機器」はひっくるめてひとつのリストページにリンクされています。この2つは項目のどこをクリックしても結局は同じところに跳ばされるワケです。

パソコン本体とパソコン周辺機器はまだ良いとしても、「携帯電話」、「パソコンパーツ」、「パソコンソフト」が同じリストにジャンプしてしまうのは無理がありますね(写真に入って無くて申し訳ない)。しかもNAMEタグも使っていないので、「パソコンソフト」をクリックすると、リストの先頭、つまり携帯電話のリストが表示されてしまいます。スクロールすると「ソフト」、「PCパーツ」とつづきます。順番も文言もトップページの並びと一貫性がないですね(^^;)。

アンカーの文言と、リンク先の内容とが食い違っていると、ユーザは混乱を起こします。有用なコンテンツだけに、気持ちよく使えるよう工夫をしてほしいところです。

109. 洗面台について


公共施設の洗面台に関する話です。洗面台を利用する場合、利用者は「手に石鹸をつけて水で洗い乾かす」という行為をすると思います。しかし、よく見かけるケースとして石鹸がこぼれて汚れていたり、手を乾かす時に使うもの(タオル、温風がでるものなど)の付近が水でビショビショになっていたりすることことがあります。理由の一つは、石鹸と手を洗うところと乾かすところの距離が離れているためです。これでは、気持ちよく利用することはできないでしょう。

これは、東北新幹線内の洗面台です。これは、「手に石鹸をつけて水で洗い乾かす」というタスクを左から右へ手を動かすだけで、しかも周りを汚すことなく達成することができます。ユーザのコンテクストからデザインされた、よい洗面台のひとつの例ではないでしょうか。

東北新幹線の洗面台
東北新幹線の洗面台
蛇口
左から「せっけん」「手あらい」「温風」。手をかざすと自動的にでる

108. 意図のわからない操作手順説明


インターフェイスやマニュアルの世界で、操作説明にその意味や解説を含めるべきかどうかという問題があります。

単に「ここで決定ボタンを押してください」というように操作内容だけを表示する手続き型の表示は、確かにシンプルで、その場ではユーザの混乱を招きにくいのですが、いざ何か問題がおこった時に、タスクの意味がわかっていないと対処が難しくなってしまいます。

背景知識を植え付けるような表示にすべきかどうかは、ケースバイケースなので一概には言えませんが、以下はσ(^^)がしばらく意味を理解できなった事例です。

前向き駐車厳守

写真は、近所のヤマダ電機の駐車場にある看板です。良く目にする内容ですよね。でも何故バックで入れたらいけないのか、しばらく疑問でした。視界の悪さは車を出す時の方が上なので、出る時に負担の低い後ろ向き駐車の方が安全面ではメリットが多いと思うんですが、それでも前向き駐車を強要するに足る理由とは?

正解は、排ガスで植木が傷まないように、とのことです。

緑化そのものは大いに結構ですが、わざわざ危険度上げ
てまでこんなとこに植木植えんでも、という気もしますね。植木植えて、しかも看板ま
で立てて「緑を大切してます」って企業イメージを自作自演したいだけに見える。

お次は男性しかわからない事例で恐縮ですが、よく駅のトイレで見かける「お願い、もう一歩前へ!」ってヤツ。後付けでテプラなんかで貼られてますよね。アレも最初見た時には全く意味がわかりませんでした。これはやや離れ気味で用を足す人が床を汚してしまうからだそうです。せめて「トイレの清潔化にご協力を」とか書き足してあればわかるんですが。確かに「もう一歩前へ!」とだけ書いてあるのは読み手に負担もかけなくていいんですが、意味がわからない人は結局従ってくれないですよね。相対的に一歩前に出ることが大事なんじゃなくて、滴が下に落ちないところまで近寄るのが目的なワケですし。

下の写真はとある社員用トイレです。ちょっとわかりにくいですが、便器の前の黒いのは起毛のカーペットです。

トイレの前にカーペットの図

これはアフォーダンスによる制約を上手に利用していると思います。タイルの床に比べて布のカーペットの方が濡らしたり汚したりするのに罪悪感大きいですもんね。難点は実際に汚されちゃった場合のダメージがデカいってことでしょうか。ただこの例は発想の転換で必ずしも文字ラベル以外で意図を伝えることができるということを示していると言えます。

2001年8月6日 補足
よしぞうさんからコメントいただきました。「そもそも”前向き”ってどっちを向いて停めることなのか悩むことがある」とのことです。確かに通路側を向いてバックで駐車するのも「前向き」というふうに取れますよね。

2001年8月21日 補足
宮地さんからコメントいただきました。植木の保護以外にも、この柵の向こうの民家
などへの排ガス、騒音の配慮や、バックしすぎて突っ込んでしまう事故の回避などの理
由もあるそうです。植木自体がそのために距離をおいたり、排ガスを(多少なりとも)吸収させたりという目的で設置されたりするそうです。

107. 日本特有のWebデザイン・ガイドラインの提案


古田です。

日々ネット・サーフィン(死語)してて、微妙なフラストレーションを感じる点をレポートします。Webデザイナの方は是非ご一考いただければと思います。

よくECサイトなんかで名前とフリガナを入れるフォームがありますよね?例えばこんな風に。

お名前(姓):
フリガナ(姓):

よろしかったら記入してみてください。で、なんか買い物なり申し込みなりするとするじゃないですか。

で、少し時間をおいてメールでも書こうかなと思ったと気がします。この日記のように冒頭に自分の名前を名乗るクセがあると思ってください。さぁ、打って見てください。

自分の名前の読みを入れてタイプするとカタカナになりませんか?だって先のフォームで最後に自分の名前をカタカナ変換したのをIME(かな漢字変換プログラム)が学習してるはずですから。

察しの良い読者の方ならおわかりでしょう。そうです。

読み仮名フィールドは名前フィールドの前にして!

というのがこの日記の趣旨なのです。

「トータルで見たら打鍵数は同じでは?」と思ってしまうのはエンジニアリング的視点に偏っています。後でメールを打つ時などまったく文脈が切り離された状態でカタカナ変換されてしまった時の認知的負荷を考慮するべきです。思いもかけない場面でカナ変換されたら、不思議に思ったり、ヘボIMEめとちょっぴり怒ってみたり、なぜそうなるかを分析しようとするでしょう。例え一瞬の内に「あぁ、あの時読み仮名を入力した学習が残ってるのか」と理解できたとしても、本来の思考は乱されたことに変わりはないのです。

σ(^^)はPHPとPerlでCGIプログラミングをしますが、どちらの言語でも、そしておそらく他のどんな言語でも、HTML側でフォームの項目順を入れ替えても、CGI側の処理は変更の必要はないでしょう。何かしら名前と読み仮名を入れるページを持っている方は、是非この点を確認していただき、チョチョイと直していただけたらなぁ、と思います。

2001年8月6日 補足
和志武さんからコメントいただきました。「そもそも読みをカタカナにせずに、ひらがなで記入するようになっていれば、変換学習の問題もおこらないのでは?」とのことです。確かにそうですね。わざわざカタカナでなければいけない理由でないですよね(あったとしてもサーバー側で簡単に変換できますし)。
同じような話では、住所の番地や部屋番号を半角で書くと怒られるサイトも多いですね。プログラムで変換したって1行で済む話なのに、なんでユーザが書き直さなきゃいけないでしょう?

2001年8月21日 補足
宮地さんからコメントいただきました。「ヴァージニア」といった外国人名の「ヴ」など平仮名では入力できない文字があるので、カタカナでないと困る、という事情もあるとのことです。これまた、なるほど、納得ですね。

106. ユーザの意図把握と自動化 ~DVカメラの電源制御


ユーザの意図を把握して、操作を自動化/簡略化することはインタラクション設計者の重要なテーマですね。

適切でなかったりやりすぎたりすると、某オフィス製品のように不評を買ったりしますし、案外難しいものです。

最近購入したDVカメラ、VictorのDVX9はなかなかにうまい設計がされていたのでご紹介します。

通常DVカメラで撮影を開始するには、写真のような電源兼モード切替スイッチで、撮影モードにし、(必要に応じて)液晶パネルを開き、レンズキャップを外す、といった手順が必要になります。

電源スイッチ部分

ところがこのDVX9はレンズキャップは電動で自動開閉しますし、液晶パネルが電源に連動しているので、普段は電源スイッチを撮影モードにしたままにしておけば、液晶を開くだけで電源が入って撮影可能状態になります。こまめに電源を切って、要所要所でスナップ的に撮影するような使い方では非常に効率が良いですね。

ちなみに液晶パネルではなくファインダーを使う場合は、下の写真のようにファインダー部分を引っ張り出すことで電源が入ります。

矢印のどちらかの操作で電源オン

ひとつ心配なのは、この自動制御が再生モードでは行われないということです。再生モードの時は液晶を閉じても電源が切れないのです。撮影モードでのクセがついていると、電池切れになりそうでちょっと不安です。

関連ページ
Victor GR-DVX9商品情報(リンク先消滅)

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