インターフェイスやマニュアルの世界で、操作説明にその意味や解説を含めるべきかどうかという問題があります。
単に「ここで決定ボタンを押してください」というように操作内容だけを表示する手続き型の表示は、確かにシンプルで、その場ではユーザの混乱を招きにくいのですが、いざ何か問題がおこった時に、タスクの意味がわかっていないと対処が難しくなってしまいます。
背景知識を植え付けるような表示にすべきかどうかは、ケースバイケースなので一概には言えませんが、以下はσ(^^)がしばらく意味を理解できなった事例です。
写真は、近所のヤマダ電機の駐車場にある看板です。良く目にする内容ですよね。でも何故バックで入れたらいけないのか、しばらく疑問でした。視界の悪さは車を出す時の方が上なので、出る時に負担の低い後ろ向き駐車の方が安全面ではメリットが多いと思うんですが、それでも前向き駐車を強要するに足る理由とは?
正解は、排ガスで植木が傷まないように、とのことです。
緑化そのものは大いに結構ですが、わざわざ危険度上げ
てまでこんなとこに植木植えんでも、という気もしますね。植木植えて、しかも看板ま
で立てて「緑を大切してます」って企業イメージを自作自演したいだけに見える。
お次は男性しかわからない事例で恐縮ですが、よく駅のトイレで見かける「お願い、もう一歩前へ!」ってヤツ。後付けでテプラなんかで貼られてますよね。アレも最初見た時には全く意味がわかりませんでした。これはやや離れ気味で用を足す人が床を汚してしまうからだそうです。せめて「トイレの清潔化にご協力を」とか書き足してあればわかるんですが。確かに「もう一歩前へ!」とだけ書いてあるのは読み手に負担もかけなくていいんですが、意味がわからない人は結局従ってくれないですよね。相対的に一歩前に出ることが大事なんじゃなくて、滴が下に落ちないところまで近寄るのが目的なワケですし。
下の写真はとある社員用トイレです。ちょっとわかりにくいですが、便器の前の黒いのは起毛のカーペットです。
これはアフォーダンスによる制約を上手に利用していると思います。タイルの床に比べて布のカーペットの方が濡らしたり汚したりするのに罪悪感大きいですもんね。難点は実際に汚されちゃった場合のダメージがデカいってことでしょうか。ただこの例は発想の転換で必ずしも文字ラベル以外で意図を伝えることができるということを示していると言えます。
2001年8月6日 補足
よしぞうさんからコメントいただきました。「そもそも”前向き”ってどっちを向いて停めることなのか悩むことがある」とのことです。確かに通路側を向いてバックで駐車するのも「前向き」というふうに取れますよね。
2001年8月21日 補足
宮地さんからコメントいただきました。植木の保護以外にも、この柵の向こうの民家
などへの排ガス、騒音の配慮や、バックしすぎて突っ込んでしまう事故の回避などの理
由もあるそうです。植木自体がそのために距離をおいたり、排ガスを(多少なりとも)吸収させたりという目的で設置されたりするそうです。
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