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210. 雑貨屋さんもユーザ中心設計


とある雑貨屋さんで見つけた粋な“箱”をご紹介します。

それは、細々とした雑貨が窮屈そうに並ぶ店内、狭い通路の片隅に、そっと置かれていました。

商品戻し箱の写真

「商品を手にしたものの、どこに戻したらいいのかわからない。そんなお客様はどうぞこの箱へ!」

買おうと思って手にはしたものの、お金を払って購入するに値するものかどうか、レジが近づくにつれて決心は揺らぎ、「やっぱや〜めた」という結論に達すること、ありませんか?そんなとき、商品をきちんと戻しに行く、ってのは良識あるオトナとして当然の行為。もちろん、きちんと戻しに行くこともありますよ。しかし、広い店内のいったいどこから持ってきた商品だったか思い出せない、なんてこともままあります。そんなときは、「ごめんなさい」と心の中で呟きながら、そっとその辺に置いてしまったりとかして…ごめんなさい。

そんな困った状況に随分と悩まされてきたのでしょうね、この雑貨屋さん。その悩みや怒りを、お客様への配慮に替えたのが、この「商品戻し箱」です。色々な顔を持った手作りの箱が、店内のあちこちに置かれていました。こんなちょっとした配慮ひとつで、お客さんは気持ちよく買い物ができるようになり、店員さんは商品の管理がしやすくなりますね。

見た目もネーミングも改善の余地はありそうですが、ユーザ中心設計の第一歩として素晴らしい“デザイン”だと思いました。

209. 次の発車時刻まであと4分


次の電車までの時間を記す案内板

これは、シンガポール旅行に行った時に駅のホームで見付けた案内板です。 電車が発車するまでの時間があと4分であることを示しています。

私は毎日電車を利用していますが、このような情報にありつけず毎回ちょっとした計算を強いられています。

[発車時刻]−[今の時刻]=[待ち時間]

次の発車時刻から今の時刻を引いて、「あと4分もあるな。」と計算するのです。待ち時間が長い場合はベンチに座って休んだり本を読んだりしますが、待ち時間がごくわずかな場合はそわそわと列の後ろに並んでみたりします。

日本の多くの案内板は発車時刻を表示しています。しかし、電車を待っている場面では、発車時刻よりも発車までの時間を意識することの方が多いのではないでしょうか。このシンガポールの案内板は、待ち時間がダイレクトにわかり、計算する必要はありません。また、自分の時計と駅の時計に誤差があるかもしれない、という余計な心配をしなくても済みます。利用状況に合わせて必要な情報がシンプルに提示されているとてもいい例だと思いました。

ただ例外として、特定の列車に座席指定をしている場合や、電車の運行属性で出発時刻が変わる場合などは、待ち時間だけでなく出発時刻も合わせて表示する必要がありそうですが。

関連ページ
使いやすさ日記『30. 信号待ち〜より良いインジケータの提案』
使いやすさ日記『69. もうすぐバス停にバスがくる!』
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208. スーパードライの箱、うまさが続く!


皆さんの中に「ビール」なる飲み物をご存知の方はいらっしゃいますか?夏は渇いた喉を潤し、冬は冷えた身体を温めてくれる、あの魔法の飲み物です。

年末に箱買いしました。いつも通りですが…。しかも2ケース。お正月だから、などと言い訳してみたり。

箱から出して冷蔵庫に1缶1缶補給するのが意外と億劫だったりするんですよ、いつもは。しかし、今回我が家に届いたアサヒスーパードライの箱は、画期的なものでした。

ビールを箱から取り出している様子

写真の通り、ビールを1缶ずつ取り出すための「穴」をあけられるようになっています。1缶抜けば、だるま落とし方式で次の缶がそこに顔を出します。1缶ちょうどのサイズではなく、ちょっと大きめになっているのも巧みな技ですね。段 ボールに指をこすって痛い思いをすることも、なかなか取り出せずにイライラす ることもなく、冷蔵庫にビールを補給できます。

愛飲しているスーパードライがいつもよりも美味しく感じられ、ガンガン飲めてし まったのは、こんなちょっとした配慮のおかげでしょうか、それとも単にお正月だっ たからでしょうか。いや、いつも通りの飲みっぷり…かな?

この箱、弱点がないわけではありません。

まず、上蓋をあけるか、持ってみる(!?)かしなければ、箱の中に何缶残っているのかを確認できないこと。「残り5缶をきりました!」くらいのところに「のぞき穴」がついていればビールを切らす心配がなくなってもっと嬉しいかもしれません。

箱を床に置くと、しっかりしゃがみ込むか、かなり腰を曲げないと缶を取り出すことができないのも一つの弱点です。箱の上蓋を開いて上から取り出す方が良い、って人もやっぱりいるでしょうね。

ビールの保管方法は人それぞれでしょうから、全てのユーザを満足させる“箱”を作るとなると難しいに違いありません。上述のとおり、私の生活には今回の箱はかなり点数の高いものでした。本来の商品である“ビール”の品質向上にとどまらず、“箱”にまで意識を向けているアサヒビールに、私はこれからもエールを送ります。

207. トイレットペーパーの使い心地を試してからお買いあげ下さい


先日、実家の近くにあるユニバースというスーパーでトイレに入った時、個室の中でこんな張り紙を見つけました。

備え付けの紙が売り場でも買えることを伝える張り紙の写真

「使いやすさ」とは少し違いますが、これはお店がお客さんの立場に立って考えてくれた、良い例ではないでしょうか。

駅や大きな施設などでも、「このトイレットペーパーは○○の再生紙です」という張り紙を時々見かけますね。そういう張り紙を見ると、「おー、リサイクルに力を入れてるんだ〜」とか「こんなことに気を配っているのね」と思い、少し嬉しくなります(私だけ?)。そしてこのスーパーの張り紙からは、お店側のユーザーへの配慮が感じられて嬉しくなりました。やっぱり、使ってみないとわからないですからね。

また、一人暮らしをしていて、安いから大量購入したはいいけれど、「やっぱり気にくわない。でも、いっぱいあるからすぐには買い換えられない…」ということがあります。というか、私は結構そういう失敗をします…。 「イイじゃない。心配りが嬉しいねぇ。」と個室で一人、にやにやしてしまいました。

張り紙一枚で嬉しくなってしまう私ですが、でも大切なことだと思うのです。売り手や作り手の思いを、いかにユーザーに伝えるか… たかが張り紙、されど張り紙。こういうことで、私達が伝えたいと思う「使いやすさ」を、ユーザーにも意識してもらえるとイイナと思いました。

206. 取り出しやすいチョコレートケース


先日、新宿駅で友人と待ち合わせをし、少し早く着いたのでお菓子でも買おうとコンビニへ向かいました。目移りしつつ、持ち運びやすそうなケースに入った明治製菓「ストロベリーチョコレート」を購入。ちなみに、このチョコレートはコンビニ限定だそうです。

混雑した待ち合わせ場所で、友人を待ちながらチョコのケースを引き出すと…

 「ペコッ」

なんとツマミが引き出した方向側に倒れ、チョコを取り出しやすい形に変わったではありませんか!この工夫により、特に最初の1個目をスムーズに取り出せました。

チョコレートの取り出し方
箱を横から見た場合

私は、引き出す瞬間まで、このような形になることが分からなかったので、意表をつかれただけに嬉しくなりました。

また閉じる時に、切り口にフタを差し込むタイプ等は、開け閉じが面倒になることがありますよね? このケースの場合、フタを起こすだけで閉じることができる為、わずらわしく感じませんでした。

なかなか気の利いたケースですね。世の中にはいろんなモノがあふれていますが、私は120円のチョコケースが、このような工夫をしていることに感心しました。

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