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285. わかりにくいデジタルカメラのアイコン ~形状とアイコンの関係~


このデジタルカメラは、消去の操作を何度やっても間違えてしまいます。

下の写真を見て下さい。ゴミ箱のアイコンは、どこのボタンを指していると思いますか?十中八九、ごみ箱のアイコンの下にあるMENUボタンだと思ってしまうでしょう。

問題のアイコンの写真

実は消去の操作は、MENUボタンではなく十字キーの下を押して行います。 十字キーの下側から問題のアイコンへと線を引き、関連性を高めているようですが、あまり有効な解決策にはなっていないようです。

原因はいくつか考えられますが、ここではデジタルカメラの形状を踏まえて考えてみたいと思います。

十字キーは少し盛り上がっている部分にあります。しかし、十字キーの操作を説明するアイコンはそこにありません。このためゴミ箱のアイコンは、十字キーではなくMENUボタンと関係があるように見えてしまいます。本体の形状がアイコンの位置を制限してしまったのではないでしょうか?

もし、少し盛り上がっている部分があとすこし広く、その上に問題のアイコンがあったらどうでしょうか?十字キーと問題のアイコンの間に正しい関係性が生まれ、消去を十字キーの下で行うことが読み取れるようになるでしょう。

使いやすい製品をデザインするためには、アイコンの位置や本体の形状などをトータルで考える必要がありますね。

284. 切り込み入りのカップ焼きそばのフタ


学生の時によく食べていたカップ焼きそばを久々に食べてみたら、フタが進化して気の利いた使い方ができるようになっていました。

フタに切り込みがある
フタを容器に引っ掛けられる

カップの角にフタの切り込みが上手く引っかかってくれるので、フタの上に重しを乗せる必要がありません。

ひと昔前までは、カップ焼きそばといえばプラスチックのフタでした。 プラスチック製だと確実にフタがされるので重しはいりませんが、お湯を流すとき麺の飛び出しを防ぐために熱くなったフタを手で押さえなくてはならず危険を伴います。 主にそのような安全面の改善のため、最近ではカップラーメンのような紙のフタを接着したものが多く使われているようです。

切り込みを入れるような、ちょっとした変化を加えるだけで格段に使いやすくなるという、商品改善の良い例だと思いました。

283. どっちがどっち!灰皿とシガーライター


英国製高級四輪駆動車、ランドローバー・ディスカバリーを「いいなあ。欲しいなあ。」と思って眺めていたときに発見したおかしなものです。

運転席内にタバコアイコンのついたフタが2つ並んでいる写真

火のついたたばこのアイコンが書かれている、ほぼ同じ形の四角い物体が並んでいます。凄いですね、灰皿が2つ?世界的に嫌煙運動が叫ばれ、灰皿がオプションのクルマも増えている中、あえて愛煙家の支持を得ようとしたのでしょうか。

引いて開けるのか押して開けるのか、形状による開け方のガイダンスが基本的に不足しているデザインですが、ここは「自動車の常識」的なモデルを応用して、フタをプッシュしてみます。

開きました。

フタが開いた状態の写真

おっ!

灰皿が2つあるのかと思ったら、灰皿とシガーライターだったんですね。

でも全く同じ見た目のものから違うものが出てくると、ちょっとビックリしてしまいます。確かに、シガーライターはたばこを付けるための道具ですからつながりはあるんですが…ちょっと笑えます。イギリス人のジョークと、前向きに理解しましょうか…。

282. 音と形で状態を伝える~ウィーンの視覚障害者用信号機


先日休暇を取って、友人と二人でちょっとウィーンまで行って参りました。 見るもの聞くものいろいろと珍しかったのですが、中でも信号機に驚かされました。

信号機には、「コチコチコチコチ・・・」という音を発する箱が設置されています。これ、視覚障害者のためのものでした。引いた写真を撮ってくるのを忘れてしまったのですが、日本の信号機の押しボタン箱よりも少し高い位置に設置されています。

「音を元に場所を確認でき、安心して渡れていいね」と話してた時、箱の横にあるでこぼこが目に入りました。

信号機の箱の側面に矢印と四角と線の凹凸がある

矢印のようなマークに、四角いボコボコ、それに線。 いったいこれは何?と信号を渡るたびに思っていましたが、何気なく道路を見つめていて、やっと判明しました。これ、自分が渡っていく方向、これから渡る車線数、車の進行方向を示しているんです。 下の写真で、二重線の出っ張りと四角の数が、路面電車と車線数と一致しているのがわかりますか?

信号機凹凸と道路の対応:左側から路面電車と3車線の車がくること、また渡り終える右側から路面電車が来ることを示している

もし、渡ろうとしている道が一方通行で、車の来る方向がわからなかったら不安だと思いませんか? この表示をなぞることで、車道の情報を得られるわけです。 また、何車線あるかが予めわかれば、自分がすぐに渡り終えられるかという判断材料にもなりますね。 さらに、路面電車がある場合は地面がでこぼこしています。知らずに渡って躓いたり、白杖が引っかかったり、ということにも備えられそうです。

音で信号の在処を示し、凹凸で車道の状態を伝える。 なかなか親切な方法だと感心しました。

<補足>

ちなみに、赤と青を判別するには、「コチコチ」音の速度が変化するらしいです。ここまで私は確認できませんでしたが、以下のURLで紹介されています。

関連ページ
3人気ままな旅
片岡忠さんのヨーロッパ旅行 音のおみやげ 「4 信号機の音 Number2」

281. 目玉機能のでしゃばる扇風機


ちょっと季節外れなネタでは?と思われるかもしれませんが、弊社ではこもった空気をかき混ぜるために、冬でも扇風機を使っております。で、この扇風機ですが少々問題があるのです。

この扇風機はイオン発生機能が付いています。一見、普通の扇風機なのですが、肝心な扇風機を回すという操作で迷ってしまいました。

扇風機の写真
電源を入れても扇風機が回らない

電源を入れようと思い、それっぽいボタンを押したのですが何故だか運転が始まりません。壊れたのかと思ったのですが、操作部をよく見ると僕が押していたのはイオン発生ボタンだったようです。

運転ボタンよりイオン発生ボタンが目立ってしまっている

通常、電源ボタンは色や大きさの違いで、他のボタンと区別されています。しかし、この扇風機では肝心な運転ボタンは他のボタンと同じように配置され、イオン発生ボタンばかり目立っています。そのためイオン発生ボタンを運転ボタンと勘違いしてしまったのです。

イオン発生機能なんてオプション機能だと思うのですが、製品のウリとなる機能をアピールしたいが為に、使用頻度を無視して目立つ位置に配置されてしまっています。扇風機つきイオン発生装置だったらこのスイッチの配列でもかまわないと思うのですが、メインの機能である扇風機が使えないようになってしまっては本末転倒ですね。

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