カテゴリー: Web、GUI (page 8 of 24)

671. いつまでかかるの? ?100万件から探す書籍検索?


最近、大きな書店に行くと、検索端末が設置してあってタッチパネル操作などで簡単に書籍の在庫や棚の位置を調べられるようになってますよね。結構重宝します。

写真は横浜市内にあるアカデミアという書店に設定された検索端末で検索している様子です。タイトルや著者名を入力しおわって検索結果を待っている状態です。「100万件のデータの中から探しています。」と大きく自慢しているかのように書かれていますが、他にユーザに伝えることがあるんじゃないでしょうか?実はこの写真、検索が始まってからゆうに一分以上経っていて、「日記ネタにしてやる」とiPhoneを取り出してカメラアプリを起動して、とかやってても悠々と撮影できました。これだけの間ユーザを待たせるのなら、プログレスバー(進捗状態を示すバーグラフ)等を表示するなどのフィードバックを出すべきでしょう。データベースの仕組み上、正確に何%の検索が完了しているかを報告するのは難しいかも知れませんが、それでもデータベースとはつながったのかとか、結果を読み込んでるとか表示できることはあるでしょう。最低でも砂時計のアニメーションを出すだけでも、フリーズしてないか判断材料位にはなります。もっといえばローテクに事前にサーバーは店内なのか遠隔地のデータセンターなのかとか、平均で何分くらい待つことになるのかを書いて貼ってあるだけでもユーザ側に心構えができて良いと思います。

100万冊をはるかに超える商品数を一瞬で検索できるAmazonnや楽天といったサービスに慣れたユーザにとって、1分を超える検索時間というのは色々と不安や不満が募るのに充分な長さです。もちろんそれが短くなるのが理想ですが、インターフェイス周りの工夫でエクスペリエンスを向上させる余地も充分にあると感じました。

669. 過剰すぎるフィードバック ~ファイルコピー完了メッセージ~


 写真は先日発売になったばかりのSONYの電子書籍端末、”Reader”です。新しいモノ好きなので速攻で購入しました。まだオンライン書店には欲しいタイトルがないので、専ら“自炊”派です。

 さて今日話題にしたいのはこの”Reader”付属の転送ツール「eBook Transfer for Reader」です。電子書籍ファイルをPCから”Reader”にコピーするのに使用します。なぜか写真右側のタイトルが並ぶゾーンにドラッグ&ドロップできず、左のサイドバーの狭いエリアしか受け付けてくれない、という細かい不満もあったりするのですが、やはり最大の不満は写真でも出ている「ファイルの転送が完了しました。」という確認ダイアログです。

(写真クリックで拡大)

さて、これの何が問題なんでしょう?正常に処理が完了したことをユーザに知らせる、教科書通りのフィードバックを提供していますね。

  • ヒント1:一般的な電子書籍ファイルは数百KB程度。転送は数秒で完了する。
  • ヒント2:転送にはUSBを用いており、まず滅多なことで失敗など起きない。
  • ヒント3:転送中には別途プログレスバー(棒グラフ)付きダイアログが出ている。

 まぁ、既にタイトルでネタバレしてる感もありますが、そうなんです、これ毎回「OK」ボタンをクリックして消すのが手間でイラっとさせられるんです(モーダルダイアログといって、それが出ている限り他の操作は一切受け付けないタイプの表示です)。続けて次の書籍を転送するにも、アプリケーションを終了して”Reader”を取り外すにしても、必ずこのひと手間が要求されるのです。これ本当に必要でしょうか?

 皆さんにも馴染みが深いと思われるWindowsのExplorerのファイルコピーを思い出してみて下さい。これと同様にコピー中には進捗を表示するダイアログが出ますが、終わった時には(エラーが起きていない限り)黙って消えてくれますよね。そこで毎回「完了しました」って出て「OK」を押さなければならないと想像してみて下さい。「正常にコピーが完了した」という事実は、99%の場面で当たり前の情報だと思います。ユーザに確認操作を要求する程の重大事ではなく、エラーが起きた時にだけ教えてくれればいいんじゃないでしょうか?

 処理が終わり「次の作業に移ってもOKだよ」ということを知らせてくれることに意義がある、という視点もあります。ですがこれもやはりユーザの操作を要求する必要はないでしょう。例えばMacのFinderで大量のファイルをコピーをした場合、完了して進捗ダイアログが消えると同時に短い音を鳴らしてくれます。Windowsよりちょっぴり親切ですね。そしてこれで充分ではないでしょうか?

 プログラミング的にはモーダルダイアログによるメッセージはたった1行で済むので、プログラマーからすると使いやすいフィードバック手段の1つではありますが、その場面で本当に必要か、逆にユーザの次の操作を妨げていないかをよく検討したいものです。
 

668. ジェスチャーとアフォーダンスとヘルプの関係


 iPhoneやiPadなど最近のApple製品の破竹の勢いは止まるところを知りませんね。実家の父はPDAとしてiPhoneを愛用してますし、母は最近AppleTVで映画をレンタルして見ているし、姪っ子もiPod touchがお気に入り。ITリテラシーがさほど高くないウチの実家にも気付けばApple製品が数多くはいり込んでいます。

 ユーザインターフェイスの面でも新しい試みを数多く盛り込んでいて業界に大きなインパクトを与えているApple製品ですが、じゃぁAppleのUIはそんなに、初めてでもすぐ使えるほどわかりやすいのか、というとそこまでではないと思います。AppleのUIの大きな特徴として画面上の部品数を極力減らしてシンプルさを保っている点がありますが、その煽りで初めての人が操作方法を理解するための手がかり(アフォーダンス)すら削られてしまっているケースが多いんです。例えば画面をスクロールする方法を考えてみましょう。今までは画面の端にスクロールバーという目に見える操作パーツがありましたが、ジェスチャーではそれをとっぱらって「画面のどこでもいいからタッチして上下に動かす」という方式になりました。わかってしまえば便利なんですが知らないとちょっと困ってしまいます(厳密には両者は排他ではないですが、Appleは画面上の部品数を減らすことを優先してスクロールバー的なものを見せていません)。

Apple Magic Mouse

 iPhone等では画面の一番上の真ん中、時計が出てるあたりをタップすると画面が一番上までスクロールして戻れる、という便利技がありますが、結構知らないまま使っている人がいます。メールのタイトル一覧画面で横に指を滑らす(スワイプする)と「削除」ボタンが出現することも気付いてない人が多いようです。写真1はAppleが発売しているMagicMouseというマウスです。右ボタンもホイールもありませんが、実は上で指を滑らせればホイール動作になりますし、最近まで気付かなかったんですが右寄りをクリックすると右クリックとして機能させることもできます(要設定)。これらは便利技、ショートカット的な位置づけなので知らなくても致命的に困ることはないですが、知っているとそうでないのとでは使い勝手が随分違うので製品全体のイメージにも影響するんじゃないかと思います。

写真2. Magic Trackpadの箱の裏面(クリックで拡大)

 「誰でも説明書見なくても使い方がわかるようにしなければ!」と画面内にわかりやすいアイコンや文言のボタンを山ほど配置したり、ヘルプメッセージを出したりしてきたUIの歴史の中で、このアプローチは斬新です。iPhoneにはクリックするとヘルプが読める「?」ボタンもありませんし、イルカが「こんな便利な使い方もできますよ。」的なことを言ってくることもありません(笑)。

 「使いこなす為には多少ユーザも勉強しないとならないけど、覚えればすごく使いやすい」という考え方は個人的に賛同できます。一目見てわかることに固執すると、慣れた後にはややウザいインターフェイスになりがちです。とはいえ、PalmのGrafftiという文字入力方式のように、そういう考え方をしつつも市場から消えていった製品もあります。Appleが上手いのは、ジェスチャーデザイン自体が自然で納得しやすいものであることに加え、それをあちこちでPRしている点じゃないかと思います。TVCMもそうですし、Appleの公式サイトには動画コンテンツも用意されています(動画はジェスチャーの説明にはうってつけですね)。基本的には機能の紹介ビデオなんですが、見てると「へぇ、そこスワイプするとそんなことができるのかっ!」と操作学習にもつながる作りになっています。またMagic Trackpadという外付けのタッチパッドでは、箱の裏に使用できるジェスチャーの一覧が印刷してあり、「おっ、こんな操作もできるのか。ちょっと試してみよう。」と思わせます(写真2)。学習前提のインターフェイスでありながら、単に「取説読め」では終わってないところがAppleの抜け目のないところなんじゃないかなと。 

662. ヘビーユーザーの憂鬱 ~Amazonのアカウントサービス~


 こんにちは、古田です。使いやすさ日記執筆メンバーとして復帰しました。あらためてよろしくお願いいたします。

 復帰第一弾のネタはいつも軽くイラッ☆とさせられる、Amazon.co.jpのアカウントサービスを取り上げてみます。AmazonのWebユーザビリティはよく引き合いに出されるリファレンス的な存在で、確かに全体としてはよくできてると思いますが、個人的には細かいところで色々と不満があります。

 まずσ(^^)自身のAmazon利用コンテクストは以下のような感じです。

  • 比較的ヘビーユーザ(昨年の決済額は50万円超)
  • DVDやBlu-ray、ゲーム、コミックなど予約注文が多い
  • ひとり暮らしなので留守時は受け取れない
  • 数日~一週間程度不在にすることもある

 一般的には未発送の注文履歴って件数どれくらいになるんでしょうね?発売済、在庫有りの商品を注文してすぐ発送されるだけなら、あまりこの画面のお世話になることはないのかも知れません。σ(^^)なんぞは例えばTVアニメのBlu-ray全巻を予約したりするので、発売まで半年もあるようなものがズラリと並びますし、未発送の注文が何ページにも渡ることはザラです(1ページ10件)。

 そんな中で、

  • あれ?もうすぐ出るこれはもう予約してあったかな?
  • 今月はお財布が厳しいので、今月発売のものをいくつか諦めよう
  • 出張で留守にする間に配送されそうなものは配送先を変更しておこう

といった利用シーンが発生します。どれも配送予定日(発売日)を基準に注文を探したいわけですが、信じがたいことにAmazonはこれができないのです。

 Amazonの注文履歴は大きく、

  • 注文日順に表示
  • 未発送の注文を表示
2番目にも1番目の結果が含まれるので、1番目で見つからなかった時が面倒!

のモードがあります。しかし後者であっても注文日順に表示なのは同じで、発送済み商品が省かれるかどうかの違いです(前者は「全ての注文を表示」とすべきですね)。予約商品だと最近注文したかどうかともうすぐ発送されるかどうかは無関係なので、実際にもうすぐ発送される商品を探すのにはひどく効率が悪いわけです。また「注文日順に表示」は実際にはその下のプルダウンメニューで「過去30日間の注文」を選んだのと同じ動作をします(写真)。これがまた困りもので、スクロールしたりページめくったりして目的のものが無かった(31日以上前に注文したものだった)場合、「過去半年分の注文」や「2010年分の注文」を選び直しますよね。するとどうでしょう!また一番最近の注文からズラっと表示されるわけです。さっきと同じ30日以内の注文をもう一度見せられて同じだけページめくって、ようやく31日以上前の注文に辿り着けるのです。どうして最初から全ての注文を表示して、「次へ」でめくって行けるようになってないんでしょう?あるいは、

  • 30日以内の注文
  • 31日以前~半年前の注文
  • 半年以上前の注文

等としてはダメなのでしょうか?

 Amazonの利用者のうち、注文履歴が何ページにも渡るようなヘビーユーザがどの程度の割合でいるかはわかりませんが、「ベストセラー」表示をみているとまだ発売が先の予約ものの割合はかなり多い様に感じます。またここで指摘したような点は改善したとしてもライトユーザに不利益をもたらすようなバッティングをするものではない気もします。もう少しヘビーユーザーに対する利便性を向上させてほしいものです。

658. 実際に行ってみたくなる! ~地域情報サイトの地図リンク表示~


訪れる機会は多いのに、実はあまりよく知らない街ってありますよね?私には「渋谷」がそういう存在でした。

そんな私が見ているお気に入りサイトをご紹介します。「シブヤ経済新聞」という、渋谷周辺の街に興味を持つビジネスマンやOLをメインターゲットにした、地域密着型情報サイトです。その時々の旬なイベント情報など、リアルタイムな話題を発信しています。

このサイトで私が気に入っているのは、紹介されている記事全てに地図リンクがついていることです。

全ての記事に地図へのリンクが!
なるほど、ここでやってたんだ!

地図を参照できれば、気になるイベントが渋谷のどの辺りで行われているのかを特定しやすくなります。すると、ちょっとした用事のついでに寄ってみようとか、より具体的な行動プランに結びつきやすくなります。それが実際に「行く」ということへ促すのです。

たった一つのリンクで、「情報を見るだけ」から「実際の街を楽しむ」ことへ。私が渋谷マスターになれる日もそう遠くなさそうです!

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