カテゴリー: 公共、住宅 (page 33 of 53)

276. 張り紙の落とし穴~サービスエリアの食券機~


食券機

写真はサービスエリアにある食券の券売機です。 購入しようと思い食べたい物を選び、OKボタンを押しました。 すると「最初にお金を入れてください」という表示が出てきたのです。 えっ!最初からやり直し?ホントに? そんなことを思っていると、画面は最初の状態に戻ってしまい、先ほど選んだメニューが消えていたのです。よく見ると画面右奥にお金の投入口がありました。なんで気が付かなかったのだろう?

食券機の周囲にある張り紙

お金の投入口より画面が手前にあり、さらに、画面周囲にあるボタン位置を示す矢印の張り紙が画面内に向いているため、券売機の前に立つと自然と意識が画面に行き、最初にお金を入れることを忘れてしまったのです。画面以外を操作することは意識から完全に外れ、右奥にある「€お金を入れて下さい」の張り紙に全く気付きませんでした。

どのタイミングでも入金を受け付けるのが良いと思いますが、そのようにできないのならば、まずはお金をいれてからということをしっかり誘導して欲しいと思いました。

273. ユーザの言葉で言ってよね!~新幹線用券売機~


最近、新幹線用の券売機をよく見かけます。窓口が混んでいるので券売機を利用することが多いのですが、いつも最初の画面で一瞬考えてしまいます。

新幹線用券売機
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「指定席の切符を買いたいんだけど、どのボタンを押せばいいんだ?」

結局、画面のボタンからは判断しにくいので、画面周囲にある張り紙を見てボタンを押しています。指定席の切符を買うには「新幹線特急券(指定)+乗車券」ボタンを押すのですが、ボタンを見ただけでは分かりませんでした。

ボタンを見ただけで切符の種類が分からないのが問題ですね。ボタンの文言がユーザに馴染みのある言葉になっていないからだと思います。さらに、漢字がズラッと並んでいるので読みにくいと思います。

一方、画面周囲の張り紙は馴染みのある言葉で簡潔に表現されているから分かりやすいです。張り紙の言葉をボタンに使用してくれると、かなり分かりやすくなると思います。

おそらく最初は張り紙が無かったと思います。それではユーザが切符を購入できないため、補助情報として張られたと思います。駅員さんの苦労がしのばれますね。本来なら張り紙が無くても使えるようになっていなければならないと思います。

272. 遠くからでも電車の発車案内がわかりやすい~東横線渋谷駅の発車案内


今年の春ぐらいから東急東横線の一部の発車案内表示が変わり、以前の電光掲示板より遙かに便利になったので、皆さんにご紹介したいと思います。

写真1:左から順に発車案内が画面に表示される

写真は渋谷駅です。この表示画面、改札の並びと直角になるように配置されています。JRハチ公口を通って東横線方面へ進むと、自分の正面に電車の発車案内が見えるというわけです。

また、反対側から来ても同じように画面が設置されているので、きちんと情報を確認できます。

今までは、行き先・ホーム・各停・快速・通過待ち・待ち合わせなど、知りたい情報は改札の奥に設置された電光掲示板を見ないと、わかりませんでした。 また、通過待ち・待ち合わせの情報は、電光掲示板の文字をスクロールさせて表示するタイプが多く、一度見逃すとしばらく表示されず、イライラすることも…。

でも、この表示画面では、スクロールでの情報表示に加え、赤いマークが付いた電車がその時間帯で一番早く横浜へ到着することを表しています(写真2)。よって、横浜方面へ急いでいる場合は、赤い表示があるホームへ進めばいいですよね。

写真2:一番先に横浜に着く電車には、画面中央に赤いマークで横浜到着時間が表示される

このように進行方向に発車情報が見えると、遠くからでもどの電車に乗ればよいかわかり、安心してホームへ向かうことができます。 また、少し急げば乗れる電車があったのに、表示を確認できずに乗り過ごしてしまった、なんてことも防げそうです。

ただ、前もって情報が手にはいるということは、駆け込み乗車にも繋がる可能性があります。情報を手に入れても危険な行為をしないよう、私達ユーザが意識して使うように心がけたいです。

271. 中身が見えるって意外といいかも~駅ホームのゴミ箱~


4/13日付の朝日新聞に“東京メトロ全駅に「中身が見える透明ゴミ箱」を設置”という記事が掲載されていました。記事によると、一連のテロ対策の一環として一時的に撤去していたゴミ箱を再設置すると言っています。 再設置するゴミ箱は安全対策のため、ゴミ箱の前面と側面を透明パネルにし中身を確認しやすくしてあります。JR山手線駅にも同じようなゴミ箱が設置されていました。

本体部分に透明の窓がついているゴミ箱の写真

ゴミ箱の中身が見えれば安全なのかな?と思いましたが、これによって意外な効果が出ているそうです。それは、お客様がゴミを分別して捨ててくれる「丸見え効果」があると言うのです。

どうして「丸見え効果」が現れたのでしょうか?記事には説明がありませんでした。中身が見えることによって、どこに捨てて良いかの判断がしやすくなります。ここに入れて下さいというメッセージ性があると思います。 他には、他人が捨てたゴミが見える=自分が捨てたゴミも見られている、ということでしょうか。これでは、ゴミを捨てる時にちょっとした緊張感があって気が抜けません。丸見えなのはゴミ箱の中身ではなく自分の行為なんですね。

身の回りにも「丸見え効果」を活用した製品があると思うので、探ってみようと思います。

267. ユーザと開発者での視野角の差による誤解釈


最近、若手スタッフが忙しくて、なかなか日記が更新されないので、久々に擦れっ枯らしが出ばってみました(笑)。

上りエスカレーター前の案内板なのに…

写真は家電量販店のエスカレーターの案内板です。これ、「下りエスカレーター」と書かれた赤いボードの奥に見えるのは上りエスカレーターなんです。実は下りエスカレーターは矢印に沿って、写真右に見える食洗機売り場の前を通って反対側に位置しています。「下りはここではないよ」という主旨の看板なんですね。写真では見えにくいですが、直行する向きで「上りエスカレーター」と書かれた黒いボードが吊ってあり、横方向から来た人には「こっちが上り」ということを示しています。

どうしてこういうことになってしまうのか考えると、インターフェイス設計における非常に大事な観点が見えてくる気がします。

おそらくこの写真の位置からもう一歩引いたり、横を向いてみるなどして全体を見渡してみれば、この看板の本来の意図を読み取ることはできるでしょう。しかし、ユーザは通常そうはしません。目に入った部分だけを吟味して解釈しようとしてしまいます。

つまりユーザの認知は開発者が思っているよりずっと、空間的にも時間的にも視野が狭いんだ、ということだと思います。設計者自身はシステム全体を把握した上でデザインします。ただ、ユーザはその極一部だけを目にして解釈する場合があって、そういう時にこのような不協和が起きてしまいます。開発者はより狭い視野でシステムを見直すこと、機械操作の苦手なユーザは、一歩ひいて全体を見渡すことを心がけてみれば、お互いがもう少し歩み寄れるのかも知れません。

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