カテゴリー: 公共、住宅 (page 2 of 53)

793. 実例を挙げてリマインド 〜駅トイレの忘れ物防止ポスター〜


写真は都営大江戸線の築地市場駅のトイレ出口に掲示されていた忘れ物の注意喚起ポスターです。

単に文字で「お忘れ物にご注意ください」と書かれたポスターはあちこちで目にしますが、これはイラストで実際によくあるであろう忘れ物を挙げて「お忘れ物はございませんか?」と問いかけています。実際にこれでどれくらい効果があがっているのかはわかりませんが、心理学的にはとても有効なんじゃないかと思います。忙しい移動中、文字情報はあまりしっかり読まれることはないでしょうが、こうしたカラフルで目立つイラストなら目に留まって、「あ、そういえば」と気付く確率が上がるのではないでしょうか。また言語情報に拠らないということは日本語がわからない外国人にも伝わるし、大きいので弱視の方がわざわざ単眼鏡をかざさなくても識別できるなんてことも期待できるかも知れません。

私もお腹弱いので駅のトイレはよく利用するし、実際傘などをたまに忘れることもあります。そんな時にこういう形でリマインドしてくれると有り難いなと思いました。

 

792. うっかり火傷を負うリスクを軽減する回転寿司店の蛇口


写真は回転寿司チェーンのはま寿司の客席にあるお茶用の蛇口です。一般的な蛇口と違って湯飲みで押し込むレバースイッチがついていません。どうやってお湯を出すかおわかりになりますか?ちなみに赤外線センサーによる自動式ではありません。

 

もっともよく見かけるものは、12年前のこちらの日記にあるタイプですね。日記では黒いボタンをうっかり指で押してしまうと指に熱湯がかかって危ないんじゃないかという指摘をしています(実際にはこのボタンはかなり強く押さないとお湯が出ないようになっており、うっかりミスにも配慮はされています)。

対して、はま寿司のタイプは、金色を部分がハンドルになっていて、普通の蛇口のようにひねってお湯を出す方式です。しかも出過ぎや出しっ放しを防ぐように、ひねることができる角度は限定されており、かつ手を離すとバネで停止位置に戻る仕組みになっています。

なるほど、この形ならば出水口の増したに操作部がある、という位置関係ではない為、事故の可能性は減りそうですね。難点は片手で操作が完結しない点でしょうか(一応湯飲みを置けば片手でも注げますが、落差があり跳ね返りが不安でした)。

押しボタン式は安全の為、ボタンが固めになっていると書きましたが、これが力の弱い人にはちょっと負担が大きい(押せない)という指摘もあるようで、その辺りの意見も考慮してこうした別解が考え出されたのでしょうか。正直慣れてしまえば押しボタン式の方が手早い気はしますが、これはこれでより安全側に振った設計ということでアリかも知れません。

 

785. 物理的なフロア配置と真逆の対応付けな案内表 〜ヨドバシAkibaの駐車場案内〜


写真はヨドバシカメラAkibaの地下駐車場のエレベーター脇に張り出されている案内です。下の表が、駐車券サービスのある店舗の一覧です。特に8Fのフードコートには多くのレストランがあり、その一部は駐車券サービスがないので注意が必要です(ここは最初の1時間で800円もするのです!600円に改訂されてました。追記参照)。

駐車券の案内図の写真

しかしこの表の見辛い点は、実際のフロアと配置が上下逆な点です。地下駐車場で車を停め、「さぁエレベーターで上に上がってくぞ」という時に、表では逆に下の方を見なければなりません。物理的には一番上にある9Fが表では一番下になってるからです。ここはヨドバシカメラの自社ビルなので、1〜6Fを占めるヨドバシカメラ自身がテナント主のプライドで一番上にならなければ気が済まなかったのでしょうか?上から1F〜6F、B1F、1F、7F、8F、9Fと恣意的な順番で、しかもほぼ上下逆というのが毎回目が泳いでしまいます。

また7Fや8Fのセルの中の並び順も50音順でもなく探しづらいんですよね。これもなにか政治的な順番なんでしょうか?さらに言えば駐車サービスがないお店の方が圧倒的に少ないので、そっちを書いておいてくれた方が見つけやすいし注意喚起にもなると思うんですよね…

2018.07.08追記:

昨年千代田区を離れてしまい訪れる頻度が激減して気付くのが遅れましたが、まるでこの記事を読んでいただいたかのようにバッチリ修正されていました。

  • 行の並びが物理フロアの高低に対応付いて直観的になった
  • フロア毎のお店の並びが50音に近い並びになり、目的のお店を意識して探す時に見つけやすくなった

お店の並びが厳密な50音順でないのは、おそらくアルファベットのお店と漢字のお店を別にまとめたり、改行毎の幅を均等割り付けにするといった細かい配慮の結果なのかも知れません。厳密な50音順であることにさほど意味はなく、この方が理に適っていると思います。やっつけ対応ではなく練りに練った改良版にしていただいた感じで嬉しいです。

改善後の案内

しかも!「最初の1時間で800円もする」と書いたところまで気にしていただいたのか(そんな訳ない)、なんと最初の1時間が600円に値下げされているではありませんか。完璧です!

780. Apple Payを取り巻くシグニファイアと感度


ついに日本でもiPhone(とAppleWatch)を使った電子マネーシステムApple Payが開始されました。日本ではSuica、iD、QUICPayという既存の電子マネープラットフォームに相乗りする形でのサービスインとなり、それらに対応していたかなりの数の既存店でサービス導入当初から利用可能となりました。

早速試した人達の声を聞いていると、「いままでのおサイフケータイより感度が良い。タッチしなくても読み取られる。」という評価と「かざしても全然認識しない。諦めて現金で払った。」的な評価で真っ二つな印象です。個人的には前者の感想で、正しく使えば従来のおサイフカードやカード式電子マネーよりも明らかに感度が高く、リーダーにタッチしなくても、数cm以上離して”かざす”だけで認識されると思います。ではなぜ後者の様な声も一定数聞かれるのでしょう?個体不良というには数が多い気がします。

ひとつにはカード選択や指紋認証のといった操作手順がよくわからず混乱しているというのがあるようです。特に一部のコンビニレジでは都合2回かざす必要があったりとややこしいことになっています。

そしてもう一つ大きいのはiPhone7/PlusのNFCアンテナの位置に起因している気がします。フィチャーフォンやAndroidのおサイフケータイ対応機種では必ず背面にアンテナがあり、スイートスポット(一番感度が高い部分)にFelicaのロゴがプリントされていました。ユーザがこれを目安にリーダーに当てれば良かったわけです。カード型の場合は当然リーダーの中心とカードの中心をあわせるように密着させます。基本的に平らな面同士をピタっとあわせるようにあてるのが習わしだったわけです。アフォーダンスとしてもそれが最も自然に感じられます。ところがiPhone 7/Plusでは事情がかわりました。目安となるFelicaのロゴがプリントされていない上、アンテナが本体上面(上辺)辺りに搭載されたのです。下記の写真はApple公式サイトにある利用シーンを紹介した動画の切り抜きです。

iPhoneを改札にあてている写真

iPhoneの背面ではなく先端側を少し角度をつけて向けていますね。これが公式の正しい使い方だと言えます。実際にこの向きでかざすと従来よりも離れた位置からでも読み取ってくれます。逆にこの事を知らないユーザが背面をペタっとあたるようにタッチすると、本来の設計通りの感度が得られず認識できなかったりするようです。皮肉なことに「しっかりタッチ」という電鉄会社の指示書き(後付けテプラ?)もこの写真にはしっかり写っています。認識しなかった人がこれをみてさらにしっかり当てようとして深みにハマってしまうことも想像に難くありません。今後こうした注意書きもiPhone利用者向けに改善されていくんでしょうかね。複数カード登録時の操作も含め、Apple、電鉄会社、そして対応店舗での啓蒙活動が重要となりそうです。実際、コンビニチェーン各社など、Apple Pay利用時の注意書きを書いたポップなどがレジ周りに掲示されつつあるようです。

皆さんももしiPhoneのApple Pay店頭決済時の感度が悪いなとお感じでしたら、是非この公式のかざしかたを試してみてください。

 

779. 見た目の期待通りに動かないボタン


写真は渋谷のディズニーストアなどが入るビルのエレベーターの操作パネルです。これどんな風に操作できると思いますか?ちょっと予想してみてください。

779

私は乳白色の樹脂部分がボタンになっていて、押すと引っ込むかと思いました。しかし正解は、

  • 三角形の描かれた銀色のプレートがタッチセンサー
  • 乳白色の樹脂パーツはランプ。押しても引っ込まない。

という作りです。ご丁寧に樹脂パーツと外側のリングの間に隙間まであるというのにここは可動部分ではないのです。急いでるなどして勢い良く押そうとしたら突き指しそうな気すらします。また操作を受け付けたことを示すフィードバックとしてもイマイチで、その場にいた人も「え?これ光ってるの?」と顔を近づけるくらい薄ぼんやりとした光り方でした。押したボタンそのものが光というのは大変わかりやすい直観的なフィードバック方向なのですが惜しいですね。また上が△、下が▼のように描き分けてるのかな、とも思いましたが、よくみると上の三角の塗装が剥げてるだけでした(写真は1F部分のもので圧倒的に上ボタンの使用頻度が高いのでしょう)。

久しぶりにセミナーの事例に使いたくなるような良い(悪い)シグニファイアの例を見つけられました。

« Older posts Newer posts »