カテゴリー: 家電 (page 8 of 10)

190. 炊飯器のフォーカス~どれが選択されている?


数カ月前に、新しい炊飯器を購入しました。

この炊飯器は、白米/無洗米、共に炊けるモノです。

私は、急ぐ時「白米」の「快速」で炊きます。

「快速」で、炊くには[炊き分け]で設定を行いますが、設定を間違えると上手く炊けないので慎重に操作します。

設定を間違えて炊いてしまったご飯を、何食も食べ続けるのは大変です。

しかし、その肝心の[炊き分け]設定の表示は、どこにフォーカスが当たっているのか分かりづらく戸惑ってしまうのです。

では、設定する時の状況を、手順を追って説明致しましょう。

写真の右上に見える[炊き分け]ボタンを押すと、以下のような設定モードになります。

メニュー設定中の表示
クリックするとMPEG1形式動画を再生

その後は、[炊き分け]ボタンを押す度に、以下の順で点滅が入れかわります。

フォーカスされる順番

「無洗米」が反転しているのは、どうやら「白米」と「無洗米」を判別するためのようです。

しかし、それがかえって混乱を招く原因となっています。

問題点は次の2つです。

  • ●「無洗米」の反転表示がフォーカスに見えてしまう
  • ●「白米or無洗米」と「なし〜クリーン」という2つの排他選択肢のグループを、ひとつのボタンで循環選択させるインタラクション
ユーザの思考

このようなイメージを伝えられるよう配慮すると、分かりやすく表示できるのではないかと思います。

124. ユーザ・コンテクストを見るということ ~エアコンのタイマー


今回はエアコンのタイマーについてユーザ・コンテクストという観点から考察してみたいと思います。

現在、エアコンのタイマーの設定方式には大別して2種類あります。「何時何分になったら切れる/入る」というものと、「今から何時間後に切れる/入る」というものです(ここでは便宜的に時刻指定型と時間指定型と呼びます)。

リモコンに時計回路を持たなければならないせいか、比較的高級クラスの製品に時刻指定型が多いように感じます。

果たしてユーザにとってどちらのタイプがより使いやすいのでしょうか?

ユーザは典型的にどういったシーンでエアコンのタイマー機能を利用するのでしょう?

ひとつには朝起きる時間に部屋が快適な温度になっていて欲しい、というニーズが想定できます。おそらく夜寝る前に、次の朝起きようと思っている時刻にセットしようとするでしょう。ここでもし、エアコンが時間指定型だったら、寝ようとしている今現在の時刻からその時刻までの時間を数えなければなりません。大抵の人は朝起きる時間はだいたい一定でしょうが、寝る時間がまちまちという人は少なくないでしょう。そういう人は毎晩このちょっとした計算タスクを強制させられることになってしまいます。この観点からはどうも時刻指定型の方にアドバンテージがありそうです。

もうひとつのニーズは、夜寝つくまでしばらく運転して、しばらくしたら勝手に切れてほしい、というものでしょう。この場合は、だいたい自分がぐっすり寝付くまでの時間は一定で、1時間とか2時間といった指定をしたくなるでしょう。もしエアコンが時刻指定型だったら、今の時刻に1時間ないし2時間を足した時刻を設定しなければなりません。やはりこれも毎日寝る時間がまちまちだという人にはちょっと面倒な作業です。この観点では時間指定型に軍配があがりそうです。

つまり、いわゆる「おやすみタイマー」と「おはようタイマー」では最適な設定方法が違ってしまうことになります。でも、おそらくこれがユーザが実際の現場(家庭)でエアコンを利用する際のコンテクストだと思います。是非こういう観点でリモコンを設計してみていただきたいです。>エアコン・メーカー様

また、今度エアコンを新調しようとしている方で、上記のような利用シーンにピンと来る方は、選定時にリモコンのタイマー指定方式を気にかけてみてはいかがでしょう?ちょっとメーカーは失念しましたが、まさにこのタイプ(おやすみは時間、おはようは時刻で設定)の設計になっている機種を目撃したことがあります。ユーザ・コンテクストに敏感な方達が設計しているのでしょう。こういう製品を選ぶと、毎日の就寝前の「儀式」がちょっぴり快適になるかも知れません。

2001年11月21日 補足
 道具眼プロジェクトの方で、現行モデルの実態調査をしてみました。

111. 乾電池の入れ方


久しぶりです。ネタは読者の方から頂いていたんですが、多忙に任せて寝かしてしまっていました。(いつもネタ提供ありがとうございます&大変遅くなりました。)

数年前まで、乾電池を正しい方向に入れるのは結構簡単なことでした。

バネがぐるぐるしてる方にマイナスを合わせるだけ。シンプルなルールですし、バネの尖ってる感によって、バネ側に乾電池のプラスを差し込むことを否定するアフォーダンスもちゃんと持ってます。(尖ってるもの同士ってなんかちゃんとあわなそうですよね)

しかし、最近は機器の小型化によって、そーも言ってられなくなってきています。

この写真をご覧下さい。2カ所ある電池入れのうち、右はいいんですけど、左はバネ側に電池のプラス極をささなければいけません。

乾電池入れ
バネを見てても電池を入れる方向はわかりません

バネ(接点形状)のアフォードだけで挿すと、残念ですが、機器は動きません。周辺(きっとどこかに描いてあります)にある差込方法のガイダンスを探さないといけません。

事情はわからんでもないんですが、なんとかならないもんでしょうか。ユーザビリティ的には古き良き伝統だったんですけど。

でも、間違える人が必ずいるからでしょう(設計側も分かってるんですよね…)、フェイルセーフはしっかりしているようです。

完全な逆極性(2本とも反対向き)にならないように、右側手前の電極には一段段差が設けてあって、マイナス側を合わせても電極と接触しないようになってます。

乾電池入れ
こっち側にマイナスを入れても大丈夫

でもなんだか後手後手ですね。昔通りにバネとマイナス電極を合わせていればこんなにいろいろ苦労しなくてもいいのに…。

96. 2色LEDは色覚異常者の敵


最近、業務の関係で色覚異常について勉強しました。

色覚異常と言っても大別して第1種から第3種の3種類あり、それぞれ識別が困難な色の組み合わせが異なります。詳しくは下記のリンクなどで大変わかりやすく解説されていますので是非ご覧ください。

で、人口比率的に大半を占めるのが第1種および第2種色覚異常というタイプで、どちらも赤と緑を区別することが難しいことから、ひっくるめて赤緑色弱などと呼ばれたりするようです。

さて、赤と緑の区別が難しいということで、日常生活に深刻な影響を及ぼす事例にはどのようなものがあるでしょう?学生にとって重大事なのは黒板のに赤チョークで書かれた文字が読みとれないことだそうです。色覚異常の親御さんの団体などでは学校などで使用しないよう働きかけたり、色覚異常対応チョークなども開発されているそうです。

もうひとつ我々のような製品開発のお手伝いを生業としていて関連が深いのが2色発光ダイオード(LED)です。様々な電気製品に利用されいるので一度は目にされたことがあると思います。1つで状況に応じて赤と緑(明るい黄緑)に光るLEDです。

例えば携帯電話の着信中(緑)と充電中(赤)に同じところが光りますよね。これが色覚異常の人達には見分けるのが難しいんだそうです。もっとも携帯電話の場合には音が鳴ったり、着信の方は点滅だったりと他にもてがかりがあるので、そう判断に困ることはないと考えられます。しかし、最近もうひとつ非常に深刻だと考えられるケースを発見しました。

テレビの電源インジゲータです。たいていのテレビはオンの状態で緑、オフ(スタンバイ)で赤く光ります。これだって「テレビの画面自体に画像が映ったり音が出たりするから平気じゃないか」と思われるかも知れません。ところが最近、我が家で頻繁に消し忘れが発生することに気づきました。そう、ゲームやビデオなど外部入力を使った後です。この場合、ゲームやビデオ自体の電源を切ると画面には何も映らないし音もしなくなります。我が家では時々この状態でテレビを切り忘れるということが発生しました。これを防止するために気をつけようと思った時、唯一電源状態を把握するのが先の2色LEDだったのです。これでは色覚異常者に対応していないということで、ユニバーサルデザインとは呼べないということになります。

さて、前置きが異常に長くなってしまいましたが、最近この辺を考慮してか、ちゃんとこの問題を回避しているテレビに出会いました。SONYのWEGAシリーズです(いや、シリーズすべてがそうなっているかどうかは調べてません。ウチのはKV-29DR1という型式です)。

電源オンの状態
スタンバイ状態

この機種は写真のように、電源オンを示すインジゲーターとスタンバイ状態を示すインジゲータが独立のLEDになっています。つまり光る場所が違うのです。更に言えば、先のビデオ入力状態での消し忘れを防止するためか、外部入力機器からの信号が途絶えると、画面に「Sビデオ1」といった表示が出っぱなしになるようになってました。

外部入力信号が途絶すると…

ブラボーですね。ユニバーサルですね。下記に商品情報へのリンクを掲載しておきます。残念ながらFlashプラグインに対応しインストールしたブラウザからしか見られず、ユニバーサル対応じゃないんですが(^^;)。

関連ページ
からーふぃくしょん(リンク先消滅)
SONY WEGAシリーズ(リンク先消滅)

90. 春の新生活応援企画 家電製品買い方指南(白モノ家電編)


本企画もとりあえずこれで最後です。お付き合いいただきありがとうございました。多少なりとも買い物のお役に立てれば幸いです。

また、他にもこういう製品の選択ポイントを教えてほしい、この製品ならここをチェックして買わないと後で損をするよ!といったご要望、補足などありましたらお気軽にメールください。またσ(^^)の商品知識も分野によっては情報が古いものもあると思います。うそ、おおげさ、まぎらわしい、などといったご指摘も歓迎いたします。

それでは白モノ家電編です。

ちなみに「白モノ家電」とはいわゆる生活家電のことで、一昔前はそういう冷蔵庫とか洗濯機みたいな家電は白と相場が決まっていたので、こう呼ばれます。そろそろ実態とかみ合わなくなってきて廃れるか、ファミコンショップやレコード店のようにしぶとく使われつづけるか…

エアコン

最近のトレンドはなんといっても省電力。いかに電気代を安く抑えてあるかが各社の目玉となっています。実際、何年か前のモデルとはかなり違っていて、年間で数千円とか1万円くらい違ってしまうこともあるみたいです。これからアパート探しする人は既設の部屋を探さず、あえてエアコン無しの部屋に自分で最近の型を入れる手もあるかも知れませんね。特についてるエアコンがひどく古い場合(コードレスのリモコンじゃない型とか)は。ただ持って出るにも工事費がそれなりにかかりますから、引越しの頻度が高い人はそうでもないかも。

さて、エアコンと言えばタイマーの利用頻度が高い家電だと思いますが、これには「時刻指定型」と「時間指定型」があります(勝手に命名)。文字通り、「朝7時に入る」と指定するか、「今から8時間後に入る」とするかの違いです。多分多くの人は朝の出勤/通学時間は決まっているけど、寝る時間は毎日バラバラという感じじゃないでしょうか?そういう場合には、夜(オフタイマー)は時間指定、朝(オンタイマー)は時刻指定が便利だと思います。夜はつけた時から2時間でオフになって、それが何時であろうと朝は7時にオンという設定ができますよね(これが逆だったことを想像してみて下さい。毎日どういう設定が必要で、どういう指折り計算が必要になるか)。たいていの機種はオン/オフ共に時刻指定か時間指定のどちらかですが、ちょっと探せばオフが時間指定、オンが時刻指定というモデルも見つかると思います。

洗濯機

洗濯機のここ数年のトレンドは中の洗濯層がステンレス製であることと、水と洗濯物を攪拌するパルセーターと呼ばれる部分が如何に洗濯物をからめずにかつ効率良く汚れを落とす水流を発生させられるか、という点です。これの結果として、水の使用量を抑えたことが売りになっているようです。

使い勝手に影響する項目は、音の静かさだと思います。たまの休日が雨だったりするとつい洗濯物がたまってしまうんですが(σ(^^)だけ?)、やむを得ず平日に洗濯するとなると仕事帰りの夜とかになりがち。そういう時に近所にかける迷惑を最低限にしたいものです。また深夜でも運転できるくらい静かだとタイマーが活きてきます。洗濯機にタイマー?と思うかも知れませんが、洗濯完了後にすぐ干したほうが良いものも色々あります。朝起きる頃に洗いあがっているようにセットできると便利です。洗濯機のタイマーはまだ時間指定型が主流のようです(時刻指定型は見たことない)。

また風呂の残り水を利用するためのポンプは洗濯機に付属のものをお勧めします。単体でも売られていますが、洗濯機に連動するタイプなら自分でオン/オフしなくていい点が大きく異なります。単体のものだと洗濯機の前で見張っていて、適当な水量でスイッチをオフにしないとなりません。洗濯機の給水は最初の一度ではないので、本当に風呂水を最大限に活用とすれば洗濯機に張り付きになってしまいます。洗濯機が水を必要とした時に自動でポンプをオン/オフしてくれる連動型ならその手間が不要なのです。

洗濯好き(嫌い?)1点豪華主義の人は憧れの洗乾一体型という選択肢もあります。一部で10万円を切るようなものも現れてきました。いずれ乾燥機も欲しいと思っているなら候補に入れてもいいかも知れません(一般的に洗濯機+乾燥機よりは安い)。ただしσ(^^)の経験では乾燥完了後に早く取り出さないとシワがついて大変なことになります。朝出がけに洗濯→乾燥のフルコースをかけて出るのはオススメしません。タイマーを上手に活用して、帰宅や起床時に乾燥が終わるようなタイミングを設定しましょう。

冷蔵庫

大型の冷蔵庫の世界ではドア(引出し)の開き方などが差別化のポイントになってきていて、使いやすさに影響していますが、一人暮らし用のクラスではそれほど違いがないように思います。

冷蔵庫は24時間稼動家電なので消費電力は重要な項目です。

また1〜2ドアの小型のものには直冷式とファン式という選択肢がありますが、後者の方が霜取りの手間が省けるのでオススメです。小型で安いものを見つけたらファン式かどうかお店の人に聞いてみてください。

電子レンジ

冷凍食品やお弁当の暖め加熱専用の単機能レンジ、色々な調理に使える高機能タイプ、オーブン一体型とクラス分けされると思います。σ(^^)自身があまり料理をしないので、後ろの2カテゴリはあまり詳しくないのですが、冷凍食品の加熱のプロ(^^;)として言わせていただくと、「出力は500Wか600Wのものを選べ」ということになります。それ以上でも以下でもいけません。何故なら世の多くの冷凍食品の加熱時間の目安はこれら2通りの電子レンジを基準に記述されているからです(冷凍食品のパッケージの裏面を見てみましょう)。最近の単機能レンジは600Wのものが多いですが、一応これもお店の人に確認してみると良いでしょう。

掃除機

最近のトレンドは紙パックのいらないタイプとコードレスです。紙パックのいらないタイプは変わりにプラスティックのカップにチリがたまるので、ゴミ箱にあけて、水ですすげばOKというもの。消耗品として紙パックを買う必要がないのが嬉しいです。

少し奮発するならコードレスは便利です。部屋を動き回るのに電源コードがあちこちに引っかかって、ということがありません。個人的には片手で本体を持って動き回るのが更にオススメ(一般的にコードレス機の本体は小さめ)。車をお持ちの人は、そちらでも使えて便利ですよ。

またもう少し普通の(?)掃除機でいいや、という人も吸引仕事率という項目はチェックしてみてください。この数字が大きい方が吸い込みが強いということになります。一般的な用途なら500Wもあれば十分です。逆に強すぎるとカーペットなどが持ち上がってしまってやりづらいです。強度調節を活用しましょう。

照明器具

「インバーター」と呼ばれるタイプは蛍光灯特有のチラツキがなく、点灯管の交換もいらず、点くのも早いといいとこづくめです。最近では価格もこなれてきましたので、候補にしても良いでしょう。特に読書などに使う電気スタンドはインバーターを強くオススメします。

一般の点灯管の変わりに取り付けるとインバーターのようになる特殊な点灯管も売られています。通常の点灯管よりも数倍長持ちするし、点灯が早いということなので、すでにインバーター型でない照明器具がある人は試してみると良いかも知れません。

#以前試したら、割と早く点かなくなったなけど、偶然かなぁ。今度また試してみます。

スタンドは白熱灯(電球)という選択肢もあります。電気代は蛍光灯の方が安いんですが、チラツキの無さからか本の読みやすさはやはり白熱灯に軍配があがります。

関連ページ
使いやすさ日記 『08. 電子レンジの調理時間に汎用的な単位を!』

« Older posts Newer posts »