投稿者: 古田 (page 40 of 103)

631. 思わずサクサク検索したくなる機能


不景気が続く日々。経済に疎い僕も、景気の動向が気になります。最近は、勉強も兼ねて経済関連の記事を読むようにしています。

ニュースサイト「47news(よんななニュース)」の記事を読んでいたときのことです。

「『量的緩和策』ってなんだろう?」

解らないまま記事を読み進めると内容が理解できなくなってしまいそうだったので、ちょっと検索エンジンで調べてみることにしました。
コピーしようと、「量的緩和策」をドラッグすると、選択した右下に「Wikipedia」というポップアップが現れました。
「なんだろう?」と思って、「Wikipedia」のところにカーソルを持っていくと…

左:ドラッグ箇所すぐ右下にポップアップが表示されている状態→右:ポップアップから検索サイトのリストが現れた状態

どうやらこのリストから選択したサイトで、検索できるようです。
試しに、Wikipediaを選択してみました。「きっと新しいタブかウィンドウが開いて、そこに検索結果が表示されるんだろうな」と思っていたところ、

Wikipedia検索による検索結果

キーワードに関するWikipediaの項目が、読んでいる記事のウィンドウ内に表示されました。この機能は、「popIn Rainbow」というブログパーツで実現しているそうです。

これまでWebページで知らない言葉に出会ったときは、

キーワードを選択→コピー→新しいウィンドウ(タブ)を開く→検索サイトを表示→検索ボックスにコピーしたテキストを貼り付け→検索ボタン→検索結果表示

という手順を踏んでいました。ところがこの機能では、

キーワードを選択→ポップアップしたリストから検索エンジンを選択→その場で検索結果表示

と、キーワードのコピー&ペーストやウィンドウを開くといった操作の必要がありません。知らない言葉をちょっと調べたい時など、ストレスを軽減しつつ記事にも集中できる、スムーズな情報提供の形ではないでしょうか。これなら今まで以上に、知らない言葉をサクサク検索したくなります。
とはいえ、この機能があるからといって、僕が経済通になれるかは別の話ですが…

注釈———————————————–

  • 2009年3月にリリースされたInternet Explorer 8にも類似機能があり、キーワードを選択すると「アクセラレータ」というアイコンが表示され、そこから翻訳、地図などの機能がポップアップで表示されるようです。
  • popIn RainowはInternet ExplorerとFirefoxのアドオンとしても提供されており、インストールするとこの機能を別のサイトでも利用できます。ただし、今回紹介したような動作と異なる場合があります。
  • 執筆時点において、47newsでこの機能が使用できることを確認したブラウザは、Firefox (ver.3.5)、Internet Explorer (ver.8)、Opera (ver.10)、Chrome (ver.3.0) です。(それぞれ初期状態)

630. 水温に合わせてイメージしやすい サーフボードのワックス


このあいだ、久しぶりにサーフィンに行きました。

ご存知の方も多いとは思いますが、サーフィンをするには、ボードに立ったときに足が滑らないように塗るワックスが必要です。前回ちょうど使い切ってしまったので買いに行ったところ、気が利いたパッケージのものを見つけたので紹介します。

ワックスは、温まると軟らかくなり溶けてしまったり、冷えると固まってネバリがなくなったりしてスベリ止めの効果が薄れてしまいます。そのため、水温にあわせてちょうどいい効果がでるように何種類か作られています。

今までは下の写真のワックスを使っていました。

今まで使っていたワックス

初心者のころは、夏は赤いの?冬が赤いの?で、今日は何色のがいいの?それはつまりどれくらいの硬さなの?というふうに、色と水温と硬さの対応をなかなか覚えられませんでした。ショップの店員に聞けば済む話ではありますが、シャイな私は声をかけるのをためらってしまうので、(写真のような)水温と硬さを示す小さな表記を見つけるまでは大変でした。

その日に行ったショップには、こんなワックスが並んでいました。

気が利いたワックス

このワックスのパッケージは水温が高いときに使うものが暖色、低いときに使うものは寒色になっています。しかもパッケージの横には水温の目安が大きく表記されています。

水温の目安

これなら、硬さと水温の対応を覚えていない初心者でも、「今日は27℃だから赤にしよう」と選ぶことができます。また、「前に赤いのを買ったけど、寒くなってきたから、水色のにしよう」という感じで、水温に合ったワックスをパッと見で選ぶこともできます。

「サーフショップの店員って話しかけづらいし、ワックスのことわからないし」という人にも覚えやすい、やさしいパッケージですね。私が初心者のころにもこんなワックスがあればよかったのになぁと思いました。

629. 外しやすく、繰り返し使える野菜袋のクリップ


野菜を買うと、写真1のように袋がテープでとめられていることが多いですが、皆さんはこのテープをどのようにはがしていますか?私はなかなかはがれないので、袋を包丁で破って中身を取り出していました。

ところが最近、普段は行かない八百屋でこのイライラを解消してくれる素敵なものを見つけました。

写真1:テープでとめられています

この袋は、見慣れたテープではなく、プラスチックのクリップで袋が閉じられています。店頭ではクリップの端同士が圧着されていますが、購入後、くっついている部分をぱちっと外すだけで簡単に開封できます。そして、開封が簡単なだけではなく、野菜が余ってしまったときにクリップの端と端を引っ掛けることで、袋を閉じて保存することもできます(写真2)。

写真2:クリップの使い方

開封する手間も減り、見た目も綺麗に保存できるので、購入後のことまできちんと考えられた気の利いた商品だなと思いました。

最近、このクリップの製造元である、ステープラーで有名なマックス株式会社の方にお会いする機会があったので、開発の経緯などのお話を伺いました。このクリップ(正式名称:コニクリップ)は、開発前に消費者の方のニーズを調査し、開発後もスーパーでアンケート調査を実施しているそうです。さらに、梱包する方の作業効率が上がるように色々な工夫をされたとのことでした。作業者の効率が上がれば、経営者も喜ぶように、作業者、経営者、エンドユーザーの win-win-winの関係を考慮し開発されたことを知り、脇役であるクリップにも細かい配慮をする重要性を感じました。

・マックス株式会社 コニクリップ
http://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/coni_story.html

628. 「100段」ってどれくらい?親切だけど、惜しい張り紙


先日、副都心線渋谷駅の地下構内でこんな張り紙を見かけました。地上出口へと続く階段の上り口の、横の壁に張ってありました。

「この階段は地上階まで約 100段あります。」とある張り紙
階段のすぐ横には、エレベータがあります。

なるほど。上をのぞいてみるとこの階段には踊り場がいくつもあり、見通しが利きません。きっとこれは、「上りはじめたはいいが思いのほか地上まで遠く、エレベータを使えばよかったと後悔する」という事態を防ぐために、親切な駅員さんが張ってくださった張り紙なのでしょう。なかなか気が利いていると思います。

しかし、この張り紙を見た私は、「約100段」がどのくらい過酷な段数なのか、具体的にイメージすることができませんでした。結局、「そう辛いものでもないだろう」と甘く見て上ってしまい、やはり途中で後悔しました。この過酷さを事前に想像できていれば、迷いなくエレベータを使ったことでしょう…。

例えば、「ビルの5階分くらい」というような表現を追加してみるのはいかがでしょう。あまり正確な表現ではありませんが、こちらの方が自宅や職場の階段を上るときのいつもの感覚と比較しやすく、「100段」と言われるよりもずっと実感しやすいと思います。

理解力に優れた受け手ばかりとは限りません。正確な情報伝達も大事ですが、場合によっては、ある程度おおまかでも想像しやすい情報の方が、かえって役に立つものです。その場に適したよりよい情報とは何か、改めて考えさせられるきっかけとなった張り紙でした。

627. 風情をかもし出す ふすまの採光スリット


温泉旅行と言えば温泉がメインですが、今回は宿選びにもこだわってみました。贅沢な食事やお風呂を満喫して、さて寝るときのことです。

わたしは真っ暗でないと寝付きが悪いので、自宅では部屋の明かりを全て消して寝ています。しかし、旅館は自宅とは違い慣れない空間です。明かりを全て消してしまうと、夜中に目が覚めてトイレに行くときなどに、どこに何があるかがわからず足元に少々不安を感じます。

多少のリスクはありますが、眠れないと嫌なので部屋の明かりを消しました。室内の電気のスイッチは枕元付近の床の間下部にあり、起き上がらなくても消灯できるように配慮されているんだなぁと感じたのですが、配慮はそれだけではありませんでした。ふと部屋の入口の方を見ると、足元がぼんやりと照らされています。 

ふすま下部にスリットがあり、隣の部屋の光が足元を照らしてくれる

ふすまに採光用のスリットがあるので、隣の部屋(玄関)の光が入ってくるようになっており、間接照明の役割を果たしていました。もちろん玄関の明かりを消していたらこの仕掛けには気付きません。しかし、間接的な照らし方には風情があって旅館のこだわりを感じました。

翌朝、宿の人に聞いてみると、やはり採光用に意図して設計されたことがわかりました。その証拠に玄関の明かりは部屋の明かりとは別の単独スイッチになっており、つけたまま就寝できるようにという意図があるそうです。ホテルなどでは足元を照らすためにフットライトが設置されていることもありますが、自分で明かりをつけるのではなく、部屋を暗くすると明かりがついていると気付ける点に、奥ゆかしさを感じます。宿泊者が旅館で心地よく過ごせる様に配慮されており、宿選びにこだわった甲斐があったなぁと、満足しました。

[補足]

ちなみに、このスリットは採光だけでなくエアコンの風を循環させる目的もあるそうです。エアコンの吹き出し口は室内にあり、吸い込み口は玄関の頭上にある構造になっています。このため、ふすまを閉め切っても風が循環するようです。この旅館の設計士が手がけた他の旅館も、この手法を採用しているとのことです。

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