投稿者: 古田 (page 31 of 103)

675. ドリンクバーの機械 ~押してる間だけ出るのか、短押しでいいのかわからない


読者の小澤さんから、飲食店のドリンクバー等に置いてあるサーバーが、ボタンを押している間だけ注がれるタイプと一度押せば1カップ分が注がれて自動的に止まるものとあるが、見た目でその区別がつかなくて不便に感じる、というご意見をいただきました。これはおっしゃる通りだと思います。同じ不満をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

操作部品の外観を見ただけでそれをどう扱ったら良いかわかることを我々の世界ではアフォーダンスと言います。例えばボタンは多くの場合ベースの面から少し飛び出していたりすることで、「ボタン」と書いてなくてもなんとなくここが押せそうってわかりますね。これを応用して、本来凹凸がないWebページの上のボタン画像もうまく陰影をつけて立体的に見せるといった工夫をするとそこがクリックできるんだということを“アフォード”することができます。ただこの例のような長押しか短押しかをアフォーダンスだけで誘導するのはなかなか難しいですね。ボタン数の割に機能が多いカーステレオや携帯電話では長押し操作がよく使われますが、その表示等には各社苦心されているようです。

今回小澤さんからご意見いただいたのをきっかけに改めてファミレスに行って詳しく観察して来ました。ここには2台のサーバーが設置してあり、左のものはホットドリンク用、右がコールドドリンク用です。ホットドリンク用は「1度押せばカップ1杯分が出てくる」タイプ。コールドの方が「押している間だけ出る」タイプでした。おそらくそれぞれ理にかなっているのでしょう。ホットドリンクのいくつかはボタンを押してからオンデマンドで内部で必要量だけ準備をしたりして少し時間がかかるし、逆に作ってしまった分は出してしまわないと困ったことになりそうです。コールドに関しては濃縮原料を水と一定比率で混ぜるだけなのでいつでも止めることができます。個人的には短押しで済んだ方が楽ですが、ドリンクバーの醍醐味はブレンドにあるという人もいらっしゃるので(笑)。 (すべてのお店の機械がこういう区分けかどうかは確証がありません。事情をご存じの方がいたら是非ご一報下さいませ。)

短押しで一杯分出るタイプの例 押している間だけ出るタイプの例

さて、ではそれが見た目で区別しているかというと、、、ないですね。ホット用の方は(ちょっと写真切れちゃってますが)後付けっぽいラベルで説明が書いてあります。コールドの方はボタンを押している間、一応そのボタン自体が点滅するようになっていて、若干「押し続けないとダメかな?」という気にはさせられました。

「押せばすぐわかる」上に「外してもダメージは少ない」という観点でいえばさして致命的な問題ではないんですが、それでも誰か上手いデザインを考案してくれないかなぁとは思ってしまいますね。>ボタンの長押しアフォーダンス

P.S.

むしろこれにイラっとできる人はユーザビリティ評価の仕事向いてると思います(笑)。

追記

昨日また別のファミレスに行って違うタイプを撮ってきました。こちらも押している間だけ出るタイプで、ボタン部分に明示的に説明が書かれていました。

押している間だけ出るタイプの例(2)

674. 携帯電話各社の災害用伝言板のちょっとした違い


この度の東北地方太平洋沖地震に被災された方々に、お見舞い申し上げます。

弊社も震災直後は計画停電対象エリアに含まれていた為、本サイトも不定期に稼働できなくなるなどして、しばらく運用を休止しておりましたが、徐々に再開して行きたいと思います。なお、再度電力不足が深刻化する夏までにサーバーを移転させるべく作業を進めております関係で、一部ページが閲覧できないなどご不便をおかけする可能性がございます。何卒ご容赦いただければ幸いです。

さて、震災後の初日記ですが、震災直後に気付いたちょっとした使いにくさを取り上げてみようと思います。それは、携帯電話各社が震災時に提供する災害用伝言板サービスに関してです。今回の震災で既に多くの方が利用されているかと思いますが、私自身も今回のことがあって家族に利用方法を教えるべく色々と動作確認をしていました。そんな中で、大手3社(docomo、au、Softbank)の同サービスにある違いを見つけてしまいました。それは、「消息を知りたい相手の電話番号を入力する欄に全角で入力してしまった場合」に関してです。

まずauさんに関しては何の問題もなく検索結果が表示されました。

次にSoftbankさんですが、写真のように「電話番号は半角11桁で入力してください。」と赤字で怒られてしまいました。

エラー自体は明確で特に迷うことはないと思いますが、普通暗記していないような数列です。どこかからコピーして貼り付けるといった場合もありうるでしょう。そしてなにより本サービスは緊急時に利用するものです。全角→半角の変換くらいはサーバー側で柔軟に対処してほしいものです。

そして一番残念だったのはdocomoさん。

なんと「正常に接続できませんでした。Invalid Data. Connection cannot be established.」だそうです(英語の部分を訳すと「(不適切なデータ。接続が確立できませんでした。)」という意味になります)。エラーメッセージがユーザにとって意味のある内容になっていません。具体的にそうすれば良いのか示されていないのです。

災害用伝言板は様々なリテラシの方が幅広く利用するサービスであると同時に、一刻も早く家族、知人の安否確認をしたいというタイムプレッシャーの下で利用するものです。ユーザに無駄な負担を強いないように改良を望みたいものです。

(本記事は2011年5月11日現在の調査に基づいています)

節電を目的とした運用休止のお知らせ


 東北太平洋沖地震による首都圏の深刻な電力不足対策の一環として本サイトは本日2011年3月14日15:00頃より当面のあいだ運用を停止いたします。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 皆様とまたここでお会いできるのを楽しみにしています。頑張りましょう。

673. Nintendo 3DSの電子マニュアルと3D


Nintendo 3DS(以下3DS)を発売日に入手できたので時事ネタとして取り上げてみたいと思います。

やはり“使いやすさ日記”的に目を惹くのはアプリの電子マニュアル機能ですね。まだ内蔵アプリでしかチェックしてませんが、それらに関しては画面内で操作説明を確認することができます。しかも3DSでは(対応した)ゲームや内蔵アプリを一時中断してホーム画面に戻る機能が搭載されました。なので、操作の途中でわからないことができたら、下画面の下部にある「HOME」ボタンを押して一時的にホーム画面に戻り、そこで「取扱説明書」ボタンをタッチすれば閲覧できます。そして問題が解決したら再度アプリをレジュームすればすぐに続きから始められるワケです。セーブやロードの手間もなくいつでもマニュアルが見られるのは良いですね。

どう頑張っても写真では3Dっぷりはお伝えできません。
是非店頭デモ機などで御確認ください

またせっかくの3D(両眼立体視)機能を使わない手はないよねとばかりに、この電子マニュアルすらも3D化されています。具体的には写真にあるように図版に対してつけられた(1)~(4)のような指示線や枠が手前に浮いて見えるんです。弊社の業務で作成する報告書でもこうしたガイド線をつけることが多いのですが、元々の画面にある図柄と混乱しないよう気を遣います(「これが見つけづらいですよね」と赤でアンダーライン引くと目立って見えてしまったり…)。こうしてレイヤーを手前に浮かせて表現できるのはちょっと羨ましく思いました。

初代Nintendo DSはタッチペンというデバイスをゲーム以外の様々な用途に広げてユーザ・インターフェイスにちょっとした革命をもたらしました。3DSの裸眼立体視機能もこうして臨場感以外の面での活用方法を見せつけてくれるのではと期待が膨らみます。

672. Googleが作るとクレジット決済Webフォームはこうなる


 Googleと言えば、もっとも先進的なWeb技術を持った会社というイメージがありますよね。そのGoogleが作るとクレジットカード決済のWebフォームはどんな作りになるんでしょう?

 先日Androidを搭載したスマートフォンを購入したため、有料アプリ決済用にGoogleアカウントにクレジットカードを登録する手続き(Google Checkout)をしました。写真はそのフォームです。

 結果から言うと、「さすがGoogle!」って部分と、「あれ?」ってところと両方ありました。上から見ていきましょう。

■イケてる点1(図中「○1」以下同様)

 カード番号入力欄です。番号を16桁入力すると、勝手にカード会社が選択されました(該当カード会社以外のアイコンがグレーアウト)。普通は自分でVISAとかMasterとか選ぶ手間が1つ省けてます。またハイフンを抜いても自動的に付加されます。普通は「入れろ」とか「入れるな」とかどちらかを強制していますが、Googleさんは「どっちでもやりやすい方でいいよ」と言ってくれてる訳です。

■イケてる点2

 国際的なサービスのため、最初は住所欄の構成がアメリカ式に番地->市区町村->都道府県->郵便番号となっており、都道府県プルダウンメニューの項目もローマ字表記になっています。国際便のやりとりをしない人にはやや敷居が高いですね。しかし、そこで「国内の形式に切り替える」というリンクをクリックすると、写真の様に日本式の項目順に切り替わり、都道府県名一覧も漢字表記になります。一番上の「国/地域」で日本が選ばれてるんだから、最初からそうなってればいいんじゃないの?という気がしなくもありませんが、そこはやっぱりアメリカ国籍の企業ってところでしょうか。

■イケてない点1(図中「×1」以下同様)

 「おぉ、さすがGoogle、クレカフォーム1つとってみても芸が細かいなぁ」と思いつつ入力を郵便番号欄です。残念ながら昨今当たり前にようになってきている郵便番号→住所の自動変換がついていません。これの有無で手間が大きく違うし、入力ミスも防げるので、これがついてないのは残念です。

■イケてる点3

 次の「ご請求書送付先」欄。ちょっとラベルがわかりづらいですが、流れ的には住所の続き(字名、番地、建物名)を入れるところですね。ここでまた感動。番地や部屋番号などの数字を全角で入れると勝手に半角に変換されます。これもサイトによって「全角で入れるべし」と強制になってたりして、「そんなのシステム側で簡単に置き換えられるんだからエラー出してまでユーザに強制することですか?」と思ってた訳ですが、その場で自動的に変換してくれるのは初めて見ました。

■イケてない点3

 全角半角の区別でユーザを手間取らせないのがGoogle流かぁ、と感心したのも束の間、なぜかこちらの電話番号欄は半角強制でした(笑)。軽く裏切られた気分です。


 普段お使いの通販サイトと比べてみていかがでしたか?

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