投稿者: 古田 (page 30 of 103)

680. ヒネルだけで開栓!キューピー ヒネルキャップ


先日実家で母で「ちょっとこれ開けられないんだけど?」と写真1の状態のドレッシングの瓶を渡されました。

写真1

いつもの見慣れたプルリングがついていません。あれこれいじってみても開く様子がない。瓶に貼られたラベル(写真2)を見ると「右に締め込む」、「カチッとなったら」などという文字が目に入ったのでグルグルまわして見るも変化なし。そこでようやく「キャップをはめたまま」という記述に気付く。母に「これ他にキャップがついてたんじゃない?」と写真3のキャップが出てきました。めちゃめちゃ目立つとこに説明書いてあるじゃんっ!

写真2 写真3

その通りにしてみるとカチッと鳴り、フタを外してみると見事開栓していました。抜けた内蓋はキャップの内側にくっついていました(写真4、5)。

写真4 写真5

お見事。従来のフタはとった後でドレッシングがついて置き場所に困るゴミが出るので、食卓で開栓するとちょっと困ったことになりがちでしたが、この方式では解決されています。また爪を伸ばしたりしている人も躊躇なく開けられるでしょう。この新しい開け方はキューピーご自慢のヒネルキャップというらしいです。昨年2月には登場していたようですが迂闊でした(そういえば最近あまりドレッシング買ってなかった)。公式ページで動画付きの解説を見られます。キューピーではこれを「革命的なユニバーサルデザイン」と称しています。そういう商品の中には真にユニバーサルとは言えないツッコミどころが残るものも多いのですが、これには素直に脱帽です。衛生面での優位性もPRされています。やり方がわかってさえ入れば誰にとってもネガティブな点はなさそうです。あ、条件入っちゃった(笑)。まぁ、実際に母はラベルに気付けずにキャップ外しちゃってましたし、目の不自由な方はいきなり渡されたら困ってしまうかも知れません。ただそれは過渡的な問題ですし、一時期はTVCMでもPRしていたようです(これも見たことなかった…)。わかっていれば両人とももこちらが良いと言うんじゃないでしょうか。

当面は自社製品の差別化の為に活用されることでしょうが、はやく世の中に浸透していってくれると良いですね。

(それにしても人がもうちょっとラベルを読んでくれるようになると開発現場は楽になるんだけどなぁ…)

679. あえて入れにくくしてあるゴミ箱


先日自動販売機の脇に写真のような空き缶、ペットボトル用ゴミ箱を見つけました。ちょっと変わったフタがついていますね。空き缶やペットボトルを入れる穴が上面ではなく側面についています。どうしてこんな形をしてるのでしょう?

私の仮説はこうです。

  1. あえて目に付く場所に穴を開けず、かわりに分別表示ラベルを目立たせることで、分別率を上げる
  2. 遠投(されて外れてもそのまま放置されること)を抑制
  3. 雨が溜まりにくい(この例では屋内設置でしたが)

等。2.,3.はまぁオマケというかこじつけかも知れません(こんな水が溜まっても抜けず、強風で簡単に飛んでしまいそうなのは屋外には置かないですかね)。おそらく1.が主目的ではないかと。また穴の位置とは関係ないですが、上面が斜めになっていることで荷物等を置けなくして忘れ物を防ぐ意図もあるかも知れません。

自然に効率的に使えることを最優先するのではなく、使う時に一瞬だけ立ち止まって考えさせる(認知科学の世界ではこれを「内省」と言います)デザインはそのバランスが難しいのですが、このゴミ箱はなかなか上手にできていると思いました。

実際の分別率がどうかフタを開けて中を覗いてみなかったことを後悔しています。

678. うっかりミスをエコにガード 〜バスの運転席で見つけた工夫


先日かなり久しぶりにバスに乗りました(東急の路線バス)。たまたま運転席のすぐ後ろの席に座ったので、メカ好きな私は運転席をガン見していたワケですが、そこで写真のようなものを見つけました。どう見てもペットボトルのキャップが取り付けられています。穴をあけてレバーに通してあります。イタズラでしょうか?飾りでしょうか?

あれ?なんか見慣れた物が? アップ

更に寄って見てみると、どうやらこのボックスは運転手さんの声を車内に流すPA操作に関するもののようです。上面の黒いレバーは「スピーカー」と書かれており運転手さんが停留所の案内をする度にせわしなくON/OFFしています。手前(運転手さん側)奥の黒いツマミが「音量」で、問題のペットボトルキャップがついているレバーが「電源」であるというのが読み取れました。なるほど、どうやらこのキャップは、うっかり肘などが当たって電源が切れてしまうのを防ぐ為に取り付けられているようです。エコですね(笑)。そう考えると元々のこの操作ボックスのデザインも取り付け位置もあまり考えられていないなという気がしてきます。停留所毎(あるいはそれ以上)に頻繁に操作をするのに、この位置、レバーの向きは適しているとも言えそうにありません。

残念ながら運転中も停留所停車中の運転手さんに話しかけられそうなタイミングを見つけられず聞き取りは叶いませんでしたが、これが東急バス全体のワークアラウンド(応急手当)なのか、この運転手さん個人の創意工夫なのか、はたまた一人前の運転手さんは皆ポケットに穴の空いたペットボトルキャップをじゃらじゃら持ち歩いてるものなのか気になりますね。

677. [番外編] iPhoneアプリ「独りブレスト!発想会議」の制作を通じて


先般弊社では初のiPhone(iOS)向けアプリ「独りブレスト!発想会議」(以下、「発想会議」をリリースいたしました。アプリの詳細については是非紹介ページをご覧頂きたいのですが、今回このアプリのプログラミングを担当しました。お陰様で一時はAppStoreのビジネスカテゴリの有料アプリランキング1位を取るなど予想以上にご好評を頂いており、開発メンバーの一人としては嬉しい限りです。ご利用いただいている方々にはこの場を借りてお礼申しあげます。

私は今までにもプライベートでは簡単な業務支援ツールを開発してフリーソフトとして配布したり、業務内で利用するプログラムを作成してきましたが、広く一般ユーザ向けのアプリを、しかもチームで開発するということは始めての経験でした。普段はお客さんであるメーカーやサービス企業の作った製品を評価する立場にある我々が、そうした開発側の立場を経験することは色々と勉強になりました。

実際にあったエピソードをご紹介します。「発想会議」は起動するとタイトル画面が表示され、そこからロゴをタップすることでメイン画面に遷移します。当初ここはタップすると同時にパッと画面が切り替わるようになっていました。しかしデザイナーから「じわっと透けるように切り替えて欲しい」という要望があがり、そのこと自体は比較的簡単にできるので安請け合いしたのですが、後になって結構ハマりました。実際じわっと画面遷移すること自体はすぐに実現したのですが、AppStore申請直前の社内デバッグ段階で「じわっとしてる最中に他のボタンをタップするとそちらも反応してしまい2つの画面が開いておかしいことになる」ということが発覚したのです。慌ててじわっとしてる最中にボタンの反応を無効化する処理を追加したのですが、今度は「フリーズする(=無効化が正しく解除されずボタンが効かないままになる)」という報告が続出orz。結局じんわり効果を使っている全ての画面でこの問題を収拾するのに一週間程審査が延期になってしまいました。まぁ一週間もかかってしまったのは単に私の技術不足ではあるですが、ともあれ「画面がじんわり遷移する効果をつける」という変更をすることで、「じんわり遷移中に他の操作をされても問題が起きない事」も保証しなければならなくなった訳です。実際にはわざわざそんなことする人はまずいないだろうというにも関わらず、です。

我々は利用者の立場から「この機能が欲しい、あの機能も欲しい」と気軽に要望を出してしまいがちですが、それはその機能自体を実現する手間だけでなく、既存の部分と衝突して問題が発生しないか、ということを全て検証し直して問題ないことを保証しなければならないということなんですね。元からある機能が多い場合にはそれはとても大変な手間になります。欲しい機能自体がちょっとしたものに思えて「なんでこんな簡単なこと対応してくれないんだ?そんな技術もないのか?」と思っても、実際にはその何倍もの品質管理のコストがかかってしまう、ということを我々利用者も知っておくべきなのかも知れません。

P.S.

「独りブレスト!発想会議」はこんなアプリです。>解説動画

676. 「今まで通りに見られればいい」が難しい〜外付け地デジチューナーの憂鬱


ついに地上及び衛星のアナログ放送が終了しました。皆さんのお宅では無事移行が完了しましたでしょうか。我が家はもう何年も前に移行済みだったのですが実家に若干未対応のテレビがあったので直前に帰省して外部チューナーを取り付けて設定してきました。直前になったこうした外部チューナーを買う人が殺到して品薄が続いているようですが、ウチの実家の場合買うだけは買ってあったので事なきを得ることが出来ました。

外部チューナーは従来のアナログテレビのビデオ入力端子につなげ、テレビ側の入力切替ボタンを押して「ビデオ」等と出ている状態にして使います。ゲーム機やDVDプレーヤーを使うのと同じ感覚ですね。これが機械が苦手な人には結構難しいんですよね。

そもそもこうした外部チューナーで地デジを使う人は(経済的理由を別にすれば)あまり新しい機械に積極的ではなく、最低限の投資で「とりあえず今まで通り見られればいいや」という層が多いんじゃないかと思われます。電気店でそう言うと「この数千円のチューナーをつければOKです」と言われる。とろこがその「今まで通り」がそんなに簡単ではないんですよね。先に書いた通りモード切替がある。リモコンも今までのものは使えない。更にDVDプレーヤーですでに入力端子が埋まってたらセレクタなんてものまで介在してくる。個人的にはそういう人こそちゃんと地デジチューナーを内蔵したテレビか、あるいはレコーダーを導入することをオススメしてきました。

テレビの電源ボタンが小さく目立たない

さて実家ではリビングや和室などの使用頻度が高い部屋は地デジテレビに買い換えたものの、両親が個別に使う寝室等についてはもったいないからとりあえず外部チューナーで、という方針になりました(計3台)。写真はそれ用に買ったチューナー(IO-DATA製)のリモコンです。国産主要メーカーのテレビの電源、入力切替、音量も操作でき、従来のリモコンは使わずに済ますことができるのですが、残念なのはテレビ電源のボタンよりもチューナー電源のボタンが目立っている点。文字で書いてあってもシニアは読みもしない。どころかそもそもチューナーという別の機械を操作しているという感覚を持つことすら困難です。結果として一番目立つ青いボタンを押して画面が暗くなった時点でテレビも切れたと勘違いしてそのまんま、ということが実際にありました。どうせどちらか切り忘れるのであればチューナーの方がはるかに消費電力は低いのだし、「今まで通り使える」を第一義的に考えるなら、テレビの電源ボタンの方が目立っている方がいいんじゃないでしょうかね?下の写真は少し前に買った同メーカー、別機種のリモコンです。こちらは色こそチューナー電源の方が目立っていますが、大きさは同等で若干マシですね。

こちらは大きさは対等

更に大変なのは海外メーカー製でこのリモコンで操作できない母親の部屋のテレビです。電源と音量は従来のものを併用する必要があります。一見、入力切替は外部固定で触らないでおけそうな気がしますが、多くのテレビはチャンネルボタンを押すと入力モードも(アナログ)テレビ側に切り替わってしまいます。そしてどうしても使い慣れたリモコンでチャンネルボタンを押してしまう。結果、入力切替についての正しい理解がないと砂嵐画面から復帰できなくなるのです。別売りでもいいので、このテレビ操作用ボタンの部分だけでも学習リモコンになっている製品を出して欲しいですね。あるにはあるんですが大抵DVDやら多機能寄りでボタンがやたらたくさんある系ばかり。こうした「今まで通り使えればいい」派には厳しいです。あるいはAppleTVのように逆転の発想で既存のリモコンの信号を学習して自機の操作ができるようにする学習リモコンならぬリモコン学習(?)的な機能をもったチューナーがあればなぁ、等と思います(部品増やさなくてもソフトで対応できそうな気がしますけどどうなんでしょう?)。

外付けチューナーは低所得層への配布用に調達する製品について国が要求仕様を策定してメーカーを公募していたのですが、こうしたユーザビリティ面に対しても配慮してほしかったですね。

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