忙しい朝。キッチンではお母さんがレンジでおかずを温めながら、トースターでパンを焼いています。洗面所ではお姉さんがドライヤーで髪を乾かし中。そこえ起きてきたお父さんが「今朝は冷えるな」とかいいながらエアコンの暖房をオンした瞬間…

バチンッ!

一斉に家中の電気が切れ、2Fのパソコンで今日提出のレポートを仕上げていた弟の悲鳴が聞こえる…

みたいな事、誰でも一度は経験したことがあるんじゃないでしょうか?そう、ブレーカーです。「なんか時々こいつのせいで電気が切れるけど、なぜなのかよく知らない」という人の為に簡単に説明しましょう。
 

一般的な配電盤の写真

ブレーカーが電気を遮断する場面は大きく3つあります。

  1. 家庭毎にあらかじめ契約した一度に使える電流量を超えて電気を使おうとした時
  2. 宅内の部屋毎の電気配線が耐えられる以上の電気を流そうとした時
  3. 漏電が起きた時 

です。1つ目の場合、写真の緑のアンペアブレーカー(契約アンペア数で色が違います)が動作し、家中の全ての電気が遮断されます。2つ目の場合は、奥の方に見えるたくさん並んだ「負荷ブレーカー」のうち該当するものが動作し、特定の部屋だけ電気が切れます。3つ目の場合にはまた別のブレーカーが動作します(写真には写っていません)。1つ目のケースは契約アンペア数を上げれば解決しますが、電気料金の基本料が上がったり、賃貸住宅の場合家主の許可が必要だったりします。2つ目は壁の中の配線の制約なのでかなり大がかりな対策が必要になります。3つ目は完全にトラブルなのですぐに電気工事屋さんに診てもらう必要があります。

2010.10.27修正:ブレーカーの説明についてご指摘いただきましたので表記を修正しました。

さて、この「家中を停電させて使いすぎを警告する」という手段。一昔前の扇風機や冷蔵庫が主だった頃にデザインされたんだと思いますが、デジタル機器が増えた昨今ではタイミングによっては大きな被害につながります。パソコンやハードディスクレコーダー等ではタイミングが悪ければ大切なデータを消失してしまうかも知れません。DVDメディアやプリンタ用紙などを無駄にしてしまうこともあります。

このデジタル家電の時代、アンペアブレーカーももう少しユーザに歩み寄ってくれてもいいんじゃないでしょうか。いきなり警告無しにブチっと切れるんじゃなくて、直前に「もうそろそろマズいです」って一言知らせてくれてもいいと思うんです。そうすればユーザも湯沸かしだけ後回しにするとかいくらでも対処ができ、トラブルを未然に防げるはずです。

昨今スマートグリッドという技術が注目されて実証実験が行われています。太陽光パネルなどの自家発電装置と電力会社からの電気を賢く使い分けて、場合によっては売電したりもする賢い(=スマート)電力ネットワークシステムのことですが、家庭内の端末には使用電力量をリアルタイムに表示できるものもあります。こうしたものであればその数値に応じて注意を促したりも簡単にできるのかも知れません。

できればそこまで待たなくても一般家庭にすぐに設置可能な”スマート配電盤”をどこか開発してくれないですかね…

2010.10.25 補足:

複数の方からブレーカーは安全のためについてるので遮断を遅延させるなどもってのほか、というコメントをいただきました。もちろんご指摘の通りで、本記事の主旨は、それに先だって何か別の手段、装置でお知らせしてくれたらいいんじゃないか、というものでした。誤解を招く表現だったことをお詫びいたします。

そして!すでにありますよ、というご連絡も匿名の方からいただきました!以前検索した時は見つけられなかったですが、やはりありましたか。そもそも普通の分電盤がいくらくらいするかわかりませんが、結構なお値段ですね。σ(^^)は賃貸住まいなので今ついているものを勝手に交換するワケにはいきませんが、是非今後建てられる新築物件には普及して欲しいですね。