先日、私の母が新しい携帯電話を購入しました。以前使っていた携帯では、写真を撮ったりすることができず、母は不満を持っていました。そのため、今回購入したものは、写真を撮ったり、その画像をメールで送れたりすることができるものを選びました。また、このような操作を“かんたん”に行うことのできる「かんたんモード」があるという点が、機器の操作が苦手な母にとって、購入の決め手になったようです。母は、ウキウキしながら新しい携帯を触っていました。

ところが、しばらくたって、浮かない顔をした母が携帯電話と説明書を両手に、私のところへやってきました。

「説明書を見ても、全然わからないのよ…。」

「しょうがないなぁ。」

私は、母の持ってきた説明書を読みながら母に操作の説明をしようとしました。ところが、母親の持ってきた説明書を見てみると、携帯電話に映っている画面とは全然違う画面が記載されているではありませんか。 

携帯電話の画面(左)とかんたん説明書の画面(右)

この携帯電話には、通常の説明書とは別に、基本機能だけを抜粋した「かんたんマニュアル」が付いてきます。母親の持ってきた説明書は、この「かんたんマニュアル」だったのです。そして、この「かんたんマニュアル」には「かんたんモード」ではなく、主に「通常モード」の説明が載っています。しかし、母はこの「かんたんマニュアル」を、「かんたんモード」のためのマニュアルだと勘違いしてしまい、画面の違いに戸惑って、私のところにやってきたというわけです。「かんたんモード」を売りにした携帯電話が、“かんたん”をうたったマニュアルのせいで紛らわしくなったとは、皮肉な話ですね。