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676. 「今まで通りに見られればいい」が難しい〜外付け地デジチューナーの憂鬱


ついに地上及び衛星のアナログ放送が終了しました。皆さんのお宅では無事移行が完了しましたでしょうか。我が家はもう何年も前に移行済みだったのですが実家に若干未対応のテレビがあったので直前に帰省して外部チューナーを取り付けて設定してきました。直前になったこうした外部チューナーを買う人が殺到して品薄が続いているようですが、ウチの実家の場合買うだけは買ってあったので事なきを得ることが出来ました。

外部チューナーは従来のアナログテレビのビデオ入力端子につなげ、テレビ側の入力切替ボタンを押して「ビデオ」等と出ている状態にして使います。ゲーム機やDVDプレーヤーを使うのと同じ感覚ですね。これが機械が苦手な人には結構難しいんですよね。

そもそもこうした外部チューナーで地デジを使う人は(経済的理由を別にすれば)あまり新しい機械に積極的ではなく、最低限の投資で「とりあえず今まで通り見られればいいや」という層が多いんじゃないかと思われます。電気店でそう言うと「この数千円のチューナーをつければOKです」と言われる。とろこがその「今まで通り」がそんなに簡単ではないんですよね。先に書いた通りモード切替がある。リモコンも今までのものは使えない。更にDVDプレーヤーですでに入力端子が埋まってたらセレクタなんてものまで介在してくる。個人的にはそういう人こそちゃんと地デジチューナーを内蔵したテレビか、あるいはレコーダーを導入することをオススメしてきました。

テレビの電源ボタンが小さく目立たない

さて実家ではリビングや和室などの使用頻度が高い部屋は地デジテレビに買い換えたものの、両親が個別に使う寝室等についてはもったいないからとりあえず外部チューナーで、という方針になりました(計3台)。写真はそれ用に買ったチューナー(IO-DATA製)のリモコンです。国産主要メーカーのテレビの電源、入力切替、音量も操作でき、従来のリモコンは使わずに済ますことができるのですが、残念なのはテレビ電源のボタンよりもチューナー電源のボタンが目立っている点。文字で書いてあってもシニアは読みもしない。どころかそもそもチューナーという別の機械を操作しているという感覚を持つことすら困難です。結果として一番目立つ青いボタンを押して画面が暗くなった時点でテレビも切れたと勘違いしてそのまんま、ということが実際にありました。どうせどちらか切り忘れるのであればチューナーの方がはるかに消費電力は低いのだし、「今まで通り使える」を第一義的に考えるなら、テレビの電源ボタンの方が目立っている方がいいんじゃないでしょうかね?下の写真は少し前に買った同メーカー、別機種のリモコンです。こちらは色こそチューナー電源の方が目立っていますが、大きさは同等で若干マシですね。

こちらは大きさは対等

更に大変なのは海外メーカー製でこのリモコンで操作できない母親の部屋のテレビです。電源と音量は従来のものを併用する必要があります。一見、入力切替は外部固定で触らないでおけそうな気がしますが、多くのテレビはチャンネルボタンを押すと入力モードも(アナログ)テレビ側に切り替わってしまいます。そしてどうしても使い慣れたリモコンでチャンネルボタンを押してしまう。結果、入力切替についての正しい理解がないと砂嵐画面から復帰できなくなるのです。別売りでもいいので、このテレビ操作用ボタンの部分だけでも学習リモコンになっている製品を出して欲しいですね。あるにはあるんですが大抵DVDやら多機能寄りでボタンがやたらたくさんある系ばかり。こうした「今まで通り使えればいい」派には厳しいです。あるいはAppleTVのように逆転の発想で既存のリモコンの信号を学習して自機の操作ができるようにする学習リモコンならぬリモコン学習(?)的な機能をもったチューナーがあればなぁ、等と思います(部品増やさなくてもソフトで対応できそうな気がしますけどどうなんでしょう?)。

外付けチューナーは低所得層への配布用に調達する製品について国が要求仕様を策定してメーカーを公募していたのですが、こうしたユーザビリティ面に対しても配慮してほしかったですね。

675. ドリンクバーの機械 ~押してる間だけ出るのか、短押しでいいのかわからない


読者の小澤さんから、飲食店のドリンクバー等に置いてあるサーバーが、ボタンを押している間だけ注がれるタイプと一度押せば1カップ分が注がれて自動的に止まるものとあるが、見た目でその区別がつかなくて不便に感じる、というご意見をいただきました。これはおっしゃる通りだと思います。同じ不満をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

操作部品の外観を見ただけでそれをどう扱ったら良いかわかることを我々の世界ではアフォーダンスと言います。例えばボタンは多くの場合ベースの面から少し飛び出していたりすることで、「ボタン」と書いてなくてもなんとなくここが押せそうってわかりますね。これを応用して、本来凹凸がないWebページの上のボタン画像もうまく陰影をつけて立体的に見せるといった工夫をするとそこがクリックできるんだということを“アフォード”することができます。ただこの例のような長押しか短押しかをアフォーダンスだけで誘導するのはなかなか難しいですね。ボタン数の割に機能が多いカーステレオや携帯電話では長押し操作がよく使われますが、その表示等には各社苦心されているようです。

今回小澤さんからご意見いただいたのをきっかけに改めてファミレスに行って詳しく観察して来ました。ここには2台のサーバーが設置してあり、左のものはホットドリンク用、右がコールドドリンク用です。ホットドリンク用は「1度押せばカップ1杯分が出てくる」タイプ。コールドの方が「押している間だけ出る」タイプでした。おそらくそれぞれ理にかなっているのでしょう。ホットドリンクのいくつかはボタンを押してからオンデマンドで内部で必要量だけ準備をしたりして少し時間がかかるし、逆に作ってしまった分は出してしまわないと困ったことになりそうです。コールドに関しては濃縮原料を水と一定比率で混ぜるだけなのでいつでも止めることができます。個人的には短押しで済んだ方が楽ですが、ドリンクバーの醍醐味はブレンドにあるという人もいらっしゃるので(笑)。 (すべてのお店の機械がこういう区分けかどうかは確証がありません。事情をご存じの方がいたら是非ご一報下さいませ。)

短押しで一杯分出るタイプの例 押している間だけ出るタイプの例

さて、ではそれが見た目で区別しているかというと、、、ないですね。ホット用の方は(ちょっと写真切れちゃってますが)後付けっぽいラベルで説明が書いてあります。コールドの方はボタンを押している間、一応そのボタン自体が点滅するようになっていて、若干「押し続けないとダメかな?」という気にはさせられました。

「押せばすぐわかる」上に「外してもダメージは少ない」という観点でいえばさして致命的な問題ではないんですが、それでも誰か上手いデザインを考案してくれないかなぁとは思ってしまいますね。>ボタンの長押しアフォーダンス

P.S.

むしろこれにイラっとできる人はユーザビリティ評価の仕事向いてると思います(笑)。

追記

昨日また別のファミレスに行って違うタイプを撮ってきました。こちらも押している間だけ出るタイプで、ボタン部分に明示的に説明が書かれていました。

押している間だけ出るタイプの例(2)

674. 携帯電話各社の災害用伝言板のちょっとした違い


この度の東北地方太平洋沖地震に被災された方々に、お見舞い申し上げます。

弊社も震災直後は計画停電対象エリアに含まれていた為、本サイトも不定期に稼働できなくなるなどして、しばらく運用を休止しておりましたが、徐々に再開して行きたいと思います。なお、再度電力不足が深刻化する夏までにサーバーを移転させるべく作業を進めております関係で、一部ページが閲覧できないなどご不便をおかけする可能性がございます。何卒ご容赦いただければ幸いです。

さて、震災後の初日記ですが、震災直後に気付いたちょっとした使いにくさを取り上げてみようと思います。それは、携帯電話各社が震災時に提供する災害用伝言板サービスに関してです。今回の震災で既に多くの方が利用されているかと思いますが、私自身も今回のことがあって家族に利用方法を教えるべく色々と動作確認をしていました。そんな中で、大手3社(docomo、au、Softbank)の同サービスにある違いを見つけてしまいました。それは、「消息を知りたい相手の電話番号を入力する欄に全角で入力してしまった場合」に関してです。

まずauさんに関しては何の問題もなく検索結果が表示されました。

次にSoftbankさんですが、写真のように「電話番号は半角11桁で入力してください。」と赤字で怒られてしまいました。

エラー自体は明確で特に迷うことはないと思いますが、普通暗記していないような数列です。どこかからコピーして貼り付けるといった場合もありうるでしょう。そしてなにより本サービスは緊急時に利用するものです。全角→半角の変換くらいはサーバー側で柔軟に対処してほしいものです。

そして一番残念だったのはdocomoさん。

なんと「正常に接続できませんでした。Invalid Data. Connection cannot be established.」だそうです(英語の部分を訳すと「(不適切なデータ。接続が確立できませんでした。)」という意味になります)。エラーメッセージがユーザにとって意味のある内容になっていません。具体的にそうすれば良いのか示されていないのです。

災害用伝言板は様々なリテラシの方が幅広く利用するサービスであると同時に、一刻も早く家族、知人の安否確認をしたいというタイムプレッシャーの下で利用するものです。ユーザに無駄な負担を強いないように改良を望みたいものです。

(本記事は2011年5月11日現在の調査に基づいています)

節電を目的とした運用休止のお知らせ


 東北太平洋沖地震による首都圏の深刻な電力不足対策の一環として本サイトは本日2011年3月14日15:00頃より当面のあいだ運用を停止いたします。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 皆様とまたここでお会いできるのを楽しみにしています。頑張りましょう。

673. Nintendo 3DSの電子マニュアルと3D


Nintendo 3DS(以下3DS)を発売日に入手できたので時事ネタとして取り上げてみたいと思います。

やはり“使いやすさ日記”的に目を惹くのはアプリの電子マニュアル機能ですね。まだ内蔵アプリでしかチェックしてませんが、それらに関しては画面内で操作説明を確認することができます。しかも3DSでは(対応した)ゲームや内蔵アプリを一時中断してホーム画面に戻る機能が搭載されました。なので、操作の途中でわからないことができたら、下画面の下部にある「HOME」ボタンを押して一時的にホーム画面に戻り、そこで「取扱説明書」ボタンをタッチすれば閲覧できます。そして問題が解決したら再度アプリをレジュームすればすぐに続きから始められるワケです。セーブやロードの手間もなくいつでもマニュアルが見られるのは良いですね。

どう頑張っても写真では3Dっぷりはお伝えできません。
是非店頭デモ機などで御確認ください

またせっかくの3D(両眼立体視)機能を使わない手はないよねとばかりに、この電子マニュアルすらも3D化されています。具体的には写真にあるように図版に対してつけられた(1)~(4)のような指示線や枠が手前に浮いて見えるんです。弊社の業務で作成する報告書でもこうしたガイド線をつけることが多いのですが、元々の画面にある図柄と混乱しないよう気を遣います(「これが見つけづらいですよね」と赤でアンダーライン引くと目立って見えてしまったり…)。こうしてレイヤーを手前に浮かせて表現できるのはちょっと羨ましく思いました。

初代Nintendo DSはタッチペンというデバイスをゲーム以外の様々な用途に広げてユーザ・インターフェイスにちょっとした革命をもたらしました。3DSの裸眼立体視機能もこうして臨場感以外の面での活用方法を見せつけてくれるのではと期待が膨らみます。

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