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681. こんなにボタンあるのに何故使わない? 〜PS Vitaの新UI〜


去る12月17日に発売になったゲーム機、PlayStation Vita(以下、PSVITA)、ゲーム好き(というよりゲーム機好き)なので当然発売日入手しました。

本機はスマートフォンを超える5インチという大画面に両面タッチパネルという新しいUIデバイスを搭載した次世代ポータブル機です。両面というのはつまり、表示画面側だけでなく裏側の背面もタッチパネルになっていて、両手で本体を持った状態で人差し指などで画面の裏側をなぞったりする操作ができるということです。まぁこれがどういう使い道があるかは未知数ですね。

さて、SONYのゲーム機はPSP、PS3とXMB(クロスメディアバー)を使ったホーム画面が特徴的でしたが、PSVITAではそれを廃止してスマートフォンライクな新しいタッチUIを搭載しています。これがちょっと残念な感じがしたのでご紹介したいと思います。

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こちらが全ての基点となるホーム画面です。インストールされたアプリケーションが丸いアイコンで並んでいるいわゆるランチャーになっています。左端にiPhone等のスマートフォンで見慣れたページインジゲーターがあります。これは上下に2ページこのような画面があり、今はその1ページ目(上側)を表示していることを示しています。移動は上下スワイプです。更に画面上部にも家のアイコンと4つの丸が並んでいます。こちらは現在起動しているアプリを示していて、画面右端に三角で示されているように左右スワイプでめくって移動できます。

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こちらの写真が右にスワイプした例。すぐにアプリに切り替わる訳ではなく、真ん中の「はじめる」と書かれたエリアをタップするとスタート/復帰します。

比較的わかりやすいし、最近のスマートフォンを使ったことがあればあまり違和感なく使えそうですね。これ自体はいいんです。惜しいのはこれら全ての操作に画面両脇のハードボタンが一切利用できないという点なのです。スワイプは操作負荷も高いですし、さぁご自慢の超絶美麗な有機ELディスプレイで高画質コンテンツを楽しむぜ、って時にまず画面を指紋で汚さないとならないのはなんとも残念です。

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3枚目の写真は動画を再生しているところです。画面をタッチしてこのような操作パレットを表示して一時停止や早送りなどの操作をします。しなければなりません。ここでもせっかくのハードボタンは使えず、コンテンツにこんな大きな障害物を出さなければ操作できないのです。

これがNintendo DSなら混乱を避けて単一の操作方法だけにするという選択肢もアリだったかも知れません。しかしPSVITAは当面コアゲーマー層をメインターゲットにすると言っているのですし、もっと効率性やサクサク操作を重視しても良かったんじゃないでしょうか。

知人にこの話しをしたところ「PS Betaやね(笑)」等と揶揄されましたが、SONYのゲーム機はソフトウェア更新による進化も醍醐味のひとつです。今後のバージョンアップで操作性も徐々にブラッシュアップされていくことを期待したいと思います。

680. ヒネルだけで開栓!キューピー ヒネルキャップ


先日実家で母で「ちょっとこれ開けられないんだけど?」と写真1の状態のドレッシングの瓶を渡されました。

写真1

いつもの見慣れたプルリングがついていません。あれこれいじってみても開く様子がない。瓶に貼られたラベル(写真2)を見ると「右に締め込む」、「カチッとなったら」などという文字が目に入ったのでグルグルまわして見るも変化なし。そこでようやく「キャップをはめたまま」という記述に気付く。母に「これ他にキャップがついてたんじゃない?」と写真3のキャップが出てきました。めちゃめちゃ目立つとこに説明書いてあるじゃんっ!

写真2 写真3

その通りにしてみるとカチッと鳴り、フタを外してみると見事開栓していました。抜けた内蓋はキャップの内側にくっついていました(写真4、5)。

写真4 写真5

お見事。従来のフタはとった後でドレッシングがついて置き場所に困るゴミが出るので、食卓で開栓するとちょっと困ったことになりがちでしたが、この方式では解決されています。また爪を伸ばしたりしている人も躊躇なく開けられるでしょう。この新しい開け方はキューピーご自慢のヒネルキャップというらしいです。昨年2月には登場していたようですが迂闊でした(そういえば最近あまりドレッシング買ってなかった)。公式ページで動画付きの解説を見られます。キューピーではこれを「革命的なユニバーサルデザイン」と称しています。そういう商品の中には真にユニバーサルとは言えないツッコミどころが残るものも多いのですが、これには素直に脱帽です。衛生面での優位性もPRされています。やり方がわかってさえ入れば誰にとってもネガティブな点はなさそうです。あ、条件入っちゃった(笑)。まぁ、実際に母はラベルに気付けずにキャップ外しちゃってましたし、目の不自由な方はいきなり渡されたら困ってしまうかも知れません。ただそれは過渡的な問題ですし、一時期はTVCMでもPRしていたようです(これも見たことなかった…)。わかっていれば両人とももこちらが良いと言うんじゃないでしょうか。

当面は自社製品の差別化の為に活用されることでしょうが、はやく世の中に浸透していってくれると良いですね。

(それにしても人がもうちょっとラベルを読んでくれるようになると開発現場は楽になるんだけどなぁ…)

679. あえて入れにくくしてあるゴミ箱


先日自動販売機の脇に写真のような空き缶、ペットボトル用ゴミ箱を見つけました。ちょっと変わったフタがついていますね。空き缶やペットボトルを入れる穴が上面ではなく側面についています。どうしてこんな形をしてるのでしょう?

私の仮説はこうです。

  1. あえて目に付く場所に穴を開けず、かわりに分別表示ラベルを目立たせることで、分別率を上げる
  2. 遠投(されて外れてもそのまま放置されること)を抑制
  3. 雨が溜まりにくい(この例では屋内設置でしたが)

等。2.,3.はまぁオマケというかこじつけかも知れません(こんな水が溜まっても抜けず、強風で簡単に飛んでしまいそうなのは屋外には置かないですかね)。おそらく1.が主目的ではないかと。また穴の位置とは関係ないですが、上面が斜めになっていることで荷物等を置けなくして忘れ物を防ぐ意図もあるかも知れません。

自然に効率的に使えることを最優先するのではなく、使う時に一瞬だけ立ち止まって考えさせる(認知科学の世界ではこれを「内省」と言います)デザインはそのバランスが難しいのですが、このゴミ箱はなかなか上手にできていると思いました。

実際の分別率がどうかフタを開けて中を覗いてみなかったことを後悔しています。

678. うっかりミスをエコにガード 〜バスの運転席で見つけた工夫


先日かなり久しぶりにバスに乗りました(東急の路線バス)。たまたま運転席のすぐ後ろの席に座ったので、メカ好きな私は運転席をガン見していたワケですが、そこで写真のようなものを見つけました。どう見てもペットボトルのキャップが取り付けられています。穴をあけてレバーに通してあります。イタズラでしょうか?飾りでしょうか?

あれ?なんか見慣れた物が? アップ

更に寄って見てみると、どうやらこのボックスは運転手さんの声を車内に流すPA操作に関するもののようです。上面の黒いレバーは「スピーカー」と書かれており運転手さんが停留所の案内をする度にせわしなくON/OFFしています。手前(運転手さん側)奥の黒いツマミが「音量」で、問題のペットボトルキャップがついているレバーが「電源」であるというのが読み取れました。なるほど、どうやらこのキャップは、うっかり肘などが当たって電源が切れてしまうのを防ぐ為に取り付けられているようです。エコですね(笑)。そう考えると元々のこの操作ボックスのデザインも取り付け位置もあまり考えられていないなという気がしてきます。停留所毎(あるいはそれ以上)に頻繁に操作をするのに、この位置、レバーの向きは適しているとも言えそうにありません。

残念ながら運転中も停留所停車中の運転手さんに話しかけられそうなタイミングを見つけられず聞き取りは叶いませんでしたが、これが東急バス全体のワークアラウンド(応急手当)なのか、この運転手さん個人の創意工夫なのか、はたまた一人前の運転手さんは皆ポケットに穴の空いたペットボトルキャップをじゃらじゃら持ち歩いてるものなのか気になりますね。

677. [番外編] iPhoneアプリ「独りブレスト!発想会議」の制作を通じて


先般弊社では初のiPhone(iOS)向けアプリ「独りブレスト!発想会議」(以下、「発想会議」をリリースいたしました。アプリの詳細については是非紹介ページをご覧頂きたいのですが、今回このアプリのプログラミングを担当しました。お陰様で一時はAppStoreのビジネスカテゴリの有料アプリランキング1位を取るなど予想以上にご好評を頂いており、開発メンバーの一人としては嬉しい限りです。ご利用いただいている方々にはこの場を借りてお礼申しあげます。

私は今までにもプライベートでは簡単な業務支援ツールを開発してフリーソフトとして配布したり、業務内で利用するプログラムを作成してきましたが、広く一般ユーザ向けのアプリを、しかもチームで開発するということは始めての経験でした。普段はお客さんであるメーカーやサービス企業の作った製品を評価する立場にある我々が、そうした開発側の立場を経験することは色々と勉強になりました。

実際にあったエピソードをご紹介します。「発想会議」は起動するとタイトル画面が表示され、そこからロゴをタップすることでメイン画面に遷移します。当初ここはタップすると同時にパッと画面が切り替わるようになっていました。しかしデザイナーから「じわっと透けるように切り替えて欲しい」という要望があがり、そのこと自体は比較的簡単にできるので安請け合いしたのですが、後になって結構ハマりました。実際じわっと画面遷移すること自体はすぐに実現したのですが、AppStore申請直前の社内デバッグ段階で「じわっとしてる最中に他のボタンをタップするとそちらも反応してしまい2つの画面が開いておかしいことになる」ということが発覚したのです。慌ててじわっとしてる最中にボタンの反応を無効化する処理を追加したのですが、今度は「フリーズする(=無効化が正しく解除されずボタンが効かないままになる)」という報告が続出orz。結局じんわり効果を使っている全ての画面でこの問題を収拾するのに一週間程審査が延期になってしまいました。まぁ一週間もかかってしまったのは単に私の技術不足ではあるですが、ともあれ「画面がじんわり遷移する効果をつける」という変更をすることで、「じんわり遷移中に他の操作をされても問題が起きない事」も保証しなければならなくなった訳です。実際にはわざわざそんなことする人はまずいないだろうというにも関わらず、です。

我々は利用者の立場から「この機能が欲しい、あの機能も欲しい」と気軽に要望を出してしまいがちですが、それはその機能自体を実現する手間だけでなく、既存の部分と衝突して問題が発生しないか、ということを全て検証し直して問題ないことを保証しなければならないということなんですね。元からある機能が多い場合にはそれはとても大変な手間になります。欲しい機能自体がちょっとしたものに思えて「なんでこんな簡単なこと対応してくれないんだ?そんな技術もないのか?」と思っても、実際にはその何倍もの品質管理のコストがかかってしまう、ということを我々利用者も知っておくべきなのかも知れません。

P.S.

「独りブレスト!発想会議」はこんなアプリです。>解説動画

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