最近、若手スタッフが忙しくて、なかなか日記が更新されないので、久々に擦れっ枯らしが出ばってみました(笑)。
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上りエスカレーター前の案内板なのに… |
写真は家電量販店のエスカレーターの案内板です。これ、「下りエスカレーター」と書かれた赤いボードの奥に見えるのは上りエスカレーターなんです。実は下りエスカレーターは矢印に沿って、写真右に見える食洗機売り場の前を通って反対側に位置しています。「下りはここではないよ」という主旨の看板なんですね。写真では見えにくいですが、直行する向きで「上りエスカレーター」と書かれた黒いボードが吊ってあり、横方向から来た人には「こっちが上り」ということを示しています。
どうしてこういうことになってしまうのか考えると、インターフェイス設計における非常に大事な観点が見えてくる気がします。
おそらくこの写真の位置からもう一歩引いたり、横を向いてみるなどして全体を見渡してみれば、この看板の本来の意図を読み取ることはできるでしょう。しかし、ユーザは通常そうはしません。目に入った部分だけを吟味して解釈しようとしてしまいます。
つまりユーザの認知は開発者が思っているよりずっと、空間的にも時間的にも視野が狭いんだ、ということだと思います。設計者自身はシステム全体を把握した上でデザインします。ただ、ユーザはその極一部だけを目にして解釈する場合があって、そういう時にこのような不協和が起きてしまいます。開発者はより狭い視野でシステムを見直すこと、機械操作の苦手なユーザは、一歩ひいて全体を見渡すことを心がけてみれば、お互いがもう少し歩み寄れるのかも知れません。