いささか専門的な話になりますが、スマートフォンや携帯電話にはSIMカードという電話番号などの契約情報が入った小さなカードが入っています。機種変更などではこのSIMカードを移し替えれば同じ番号、契約で新しい機種が使えるというわけです。基本的には携帯ショップの人が交換作業までしてくれるものでしたが、最近では格安SIMなどの普及やSIMフリースマートフォンに海外旅行中に現地の電話会社のSIMカードを一時的に入れ替えて安く利用する使い方が一般的になっており、自分自身でこのSIMカードを扱う機会が増えてきました。

さてこのSIMカード、電話機本体を少しでも小さく薄くしたいという要求に対応する為、カード自体も標準サイズからマイクロSIM、ナノSIMというように小型化してきました。ただしSDカードがミニSDやマイクロSDになったのとは違い、端子部分の規格は同一で、縁の切り取りをいかにギリギリにするかという勝負だったりします。それでも自分の電話機にあうサイズを選ばないとならないことには違いなく、格安SIMのパッケージを買って自分で交換する場合などには注意点のひとつでした。

さてそんな中、先日家族が海外旅行に行くというので現地で使えるSIMカードを取り寄せたところ、なんと1枚で3サイズに対応できる仕掛けになっていました。クレジットカードサイズのベースカード(写真左)についたままなのが標準サイズ、その内側から切り抜いたのがマイクロSIMサイズ(写真中)、さらにその中心部を切り抜いたのがナノSIM(写真右)となります。通常国内で見かけるものはあらかじめ3サイズのどれかひとつにのみ対応したベースカード、パッケージとなっており買う時に選ばなければなりません。これに対し、このH20 Wirelessという会社のSIMは、買ってからでもサイズを選べる、ということになります。これは通販などでうっかり間違えて買ってしまい交換が旅行出発日に間に合わなかった!なんて悲劇を防げる良い工夫だと思います。

国内各社も早くこの方式にすれば良いのに!と思いますが、まだまだ海外ほど自分でSIM交換をする人って少ないんでしょうかね。初心者はかえって意図しない位置で切り抜いてしまって混乱するなんてこともあるのかも知れません。私は最近ユーザビリティの評価をする時の観点として電話越しで説明しやすいか、ということに留意しています。例えば今回も実家の家族にはメールや電話などで交換方法を説明したりしましたし、サポート係が電話でユーザに説明する場合もまだまだ音声通話越しが多いと多いと思います。そういう時に言葉だけでどの部分を切り抜けばいいのか説明できるか?というとちょっと難しいのかも知れません。例えば真ん中のマイクロSIMサイズ相当部分だけ色が違ったりすると、電話で聞いた相手の機種から適切なSIMサイズを調べて、「○色の部分を切り抜いてください」なんて言えるかも?そういう課題が克服されていけば、いずれ国内もこの方式に切り替わっていくのではないでしょうか(単に特許で押さえられてるだけかも知れませんが…)。