デザインに関わる仕事をしている私が、ちょっと考えさせられるコインパーキングの精算機を見付けました。
この精算機の操作パネルには、なにやら線が引いてあったり、車のシルエットが描かれていたりしています。仕事柄、どうしてこのような表現になっているのか、とても気になりました。

精算機正面の操作パネル(クリックで拡大)

操作パネルの左側は、精算手順が上から順番に書かれていて、項目によって番号や色を変えたり、出庫の説明に車のシルエットを使ったりと、グラフィックの表現による工夫を感じました。これは分かりやすい!と思ったのですが、続いて操作パネルの右側を見てみると、問題に気が付きました。それは、操作パネルの右側の表示やボタンのレイアウトが、操作手順と大きくズレてしまっているところです。これでは、精算を終えるのにどこを見て、どのボタンを押していけばよいか、迷ってしまうでしょう。精算手順とボタン位置を結ぶ線は、分かりやすくしようとした結果でしょうが、それがかえって煩雑な印象を与え、一見して分かりにくいものにしてしまっています。そこに、悪戦苦闘しながらデザインしている様が目に浮かび、「グラフィックの表現だけでは、これ以上使いやすくなりません!」という声が、聞こえてきそうです。グラフィックの表現のみで、使いやすくできる限度があることを見せられたような、そんな気持ちになりました。

今回の場合、機構を設計する際に、生産性とかコストとかの制限から、ボタンや表示のレイアウトが決定された事が想像されます。しかし、もっと利用者が使いやすい製品にするには、機械内部の構造を決める段階で、ユーザ視点を取り入れた設計が必要になってくるのではないでしょうか。それでも、この操作パネルのように少しでも使いやすくしようとする工夫は大切ですので、私自身もその気持ちを欠かさないように心がけていきたいと思いました。