写真1は、最近、駅構内によく見かけるICカードチャージ専用機になります。


写真1 ICカードチャージ専用機 このようにカードを差し込む

このチャージ機の大きな特徴は、カードのデータを読み書きする際、従来の自動券売機と異なり、写真のように、差込口に差し込む方式になっていることです。

実際に使ってみて気になったのは、カードを差し込んで手続きが終わった後、いつカードを取り出せるか分かりにくいことです。

従来の自動券売機は、カードが機械に吸い込まれて見えなくなるため、

  • 「カードが見える」=「カードが取り出せる」
  • 「カードが見えない」=「カードが取り出せない」

というシンプルで分かりやすいルールが成立しており、このような問題はおきませんでした。

それに対し、このチャージ機は、カードが取り出せる時もそうでない時も、カードが常に「見える」状態であるため、上記のような分かりやすいルールがそもそもないわけです。では、代わりに何か「いつ取り出せばいいのか」を教えてくれるルールはあるのでしょうか?確かに写真2、3のような緑の三角のランプがあり、取り出せるタイミングになると点灯から点滅に変化することで、取り出せるタイミングを教えてはくれています。しかし、点滅になったら取り出せるというルールがどこにも記されていないので、結局のところ、点滅するまでは「いつ取り出せるんだ?」とジリジリと待つことになってしまいます。この状態で待ちきれずにカードを取り出そうとすると、写真2のようなロックに阻まれ、今度はカードをつかんで「取り出せないなあ」とガチャガチャさせるばかり。カードが取り出せない時は、このスライド式の赤いバーでカードがロックされる仕組みになっていますが、チャージ機を操作するときの視線の角度からだとバーの見える範囲が狭いため、ロックがかかっているのか外れているのか確認しにくい状態になっているわけです。 

写真2 カードが取り出せない状態 写真3 カードが取り出せる状態

結局、いつ、どうやってカードが取り出せるのか、事前に情報提示がないため、ユーザにとってもどかしく感じてしまうシステムになってしまっています。

「見える」ということは、わかりやすくなったり安心感があったりと、ポジティブな印象があります。しかし、ただ「見せた」だけでは、今回の事例のように、使いづらくなってしまうことがあるのですね。