WindowsXP Professionalには、「オフラインフォルダ」というネットワークでつながったサーバー上にあるファイルを、ネットワークにつながっていない外出先であっても、あたかもネットワークがつながっているかのように利用できる機能があります。

普通は、こういうことをする場合、サーバー上の必要なファイルをノートパソコンのHDDに自分でコピーして利用します。ですので、会社のLANにつながっている状態では、「\\サーバー\\フォルダ\\ファイル名」のようなパスで辿れるファイルを、出先では「c:\フォルダ\ファイル名」のように扱い分けなければなりません。そして、どちらかを更新した場合には、あらためてコピーし直して、サーバーとHDD内の同名ファイルを同じものにしなければなりません。

ところが、この「オフラインフォルダ」ならその辺りをユーザにほとんど意識させないで処理してくれます。あらかじめ指定したフォルダのファイルをすべてHDDにコピーしてくれるし、LANにつながっていなくても、つながっている時同様「\\サーバー\\フォルダ\\ファイル名」でアクセスできてしまいます。そしてファイル更新した場合の不整合は、再びLANにつないで「同期」という操作をすることで更新したファイルだけを高速にコピーして解決してくれるのです。なかなか便利ですね。

さて、このような仕組みで問題になるのは、外出中にHDD上で更新したファイルを、同時に社内の他の人が更新してしまった場合です。こうなると、Windowsはどちらを優先して保存すれば良いのかユーザに問い合わせるしかありません。

写真はその場合のダイアログです。

ダイアログの写真

「〜上のバージョンだけを保持し、〜上のバージョンを置き換える」という表現は
、この手のコピー確認ダイアログの表現の中では随分よく練られたものだと思います。
以前のMacOSなど、どっちがどっちを上書するのかわからないような日本語でしたもんね。

ですが、いくつか気になる点もあります。まず、サーバーと(自分のマシンの)HDDの呼び方です。このダイアログでは、前者を「ネットワーク上のバージョン」とか「ネットワークバージョン」とか呼ぶようです。これはまぁ良いでしょう。問題は後者です。同じダイアログの中なのに、「コンピュータ上のバージョン」、「ローカルバージョン」とまったく異なる呼び方をしています。

まず呼び方が食い違っている上に、表示順序も逆転しているので、同じものを指していることを認識するまでに何段階かの論理的判断をする必要があります。

また、それぞれの文言もあまり適切でない気がします。

「ローカル」とか「リモート」という呼び方は、そう多くのユーザが自然に理解できるものではない気がします(あなたの上司にそう言って通じそうか想像してみて下さい)。元の英語では一般用語なんでしょうが、日本語化すると専門用語になってしまう例って少なくないですね。

他方の「コンピュータ」もやや曖昧です。ネットワーク上のサーバーだって「コンピュータ」ですもんね(^^;)。

もうひとつ付け加えるなら、解決方法の選択肢と更新日時は順序を入れ替えて、「問題の説明」→「各ファイルの状況」→「ユーザの選択肢」→「OKボタン」とした方が、ユーザの頭の中の情報処理順序にマッチする気がします。

σ(^^)はわざわざ自分のノートPCに入っていたWindowsXP Home EditionをProfessinal Editionにアップグレードするパッケージ(ナゼか今月までの期間限定販売)を購入してしまったくらいこのオフラインフォルダを気に入っています。

ですが、この手の処理は、判断を間違えると新しいファイルを古いファイルで上書きして消してしまったりする重大事を招くので、慎重なインターフェイス・デザインをお願いしたいです。

関連ページ
Microsoftのオフラインフォルダ説明ページ(操作手順的なことのみ)(リンク先消滅)