読者の小澤さんから、飲食店のドリンクバー等に置いてあるサーバーが、ボタンを押している間だけ注がれるタイプと一度押せば1カップ分が注がれて自動的に止まるものとあるが、見た目でその区別がつかなくて不便に感じる、というご意見をいただきました。これはおっしゃる通りだと思います。同じ不満をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
操作部品の外観を見ただけでそれをどう扱ったら良いかわかることを我々の世界ではアフォーダンスと言います。例えばボタンは多くの場合ベースの面から少し飛び出していたりすることで、「ボタン」と書いてなくてもなんとなくここが押せそうってわかりますね。これを応用して、本来凹凸がないWebページの上のボタン画像もうまく陰影をつけて立体的に見せるといった工夫をするとそこがクリックできるんだということを“アフォード”することができます。ただこの例のような長押しか短押しかをアフォーダンスだけで誘導するのはなかなか難しいですね。ボタン数の割に機能が多いカーステレオや携帯電話では長押し操作がよく使われますが、その表示等には各社苦心されているようです。
今回小澤さんからご意見いただいたのをきっかけに改めてファミレスに行って詳しく観察して来ました。ここには2台のサーバーが設置してあり、左のものはホットドリンク用、右がコールドドリンク用です。ホットドリンク用は「1度押せばカップ1杯分が出てくる」タイプ。コールドの方が「押している間だけ出る」タイプでした。おそらくそれぞれ理にかなっているのでしょう。ホットドリンクのいくつかはボタンを押してからオンデマンドで内部で必要量だけ準備をしたりして少し時間がかかるし、逆に作ってしまった分は出してしまわないと困ったことになりそうです。コールドに関しては濃縮原料を水と一定比率で混ぜるだけなのでいつでも止めることができます。個人的には短押しで済んだ方が楽ですが、ドリンクバーの醍醐味はブレンドにあるという人もいらっしゃるので(笑)。 (すべてのお店の機械がこういう区分けかどうかは確証がありません。事情をご存じの方がいたら是非ご一報下さいませ。)
短押しで一杯分出るタイプの例 | 押している間だけ出るタイプの例 |
さて、ではそれが見た目で区別しているかというと、、、ないですね。ホット用の方は(ちょっと写真切れちゃってますが)後付けっぽいラベルで説明が書いてあります。コールドの方はボタンを押している間、一応そのボタン自体が点滅するようになっていて、若干「押し続けないとダメかな?」という気にはさせられました。
「押せばすぐわかる」上に「外してもダメージは少ない」という観点でいえばさして致命的な問題ではないんですが、それでも誰か上手いデザインを考案してくれないかなぁとは思ってしまいますね。>ボタンの長押しアフォーダンス
P.S.
むしろこれにイラっとできる人はユーザビリティ評価の仕事向いてると思います(笑)。
追記
昨日また別のファミレスに行って違うタイプを撮ってきました。こちらも押している間だけ出るタイプで、ボタン部分に明示的に説明が書かれていました。
押している間だけ出るタイプの例(2) |
コメントを残す