12月、PayPayというQRコード決済サービスがキャンペーンで話題になりました。加盟店であれば20%還元、一定の確率で全額還元も当たるとあって都心の家電店などで行列ができるほどの賑わいだったようです(現在は終了しています)。
私は元々非接触ICカード式のキャッシュレス決済を積極的に使ってきたので、逆にQR決済は登録しつつもあまり使用してきませんでした。手間としては明らかに非接触ICカード式の方が楽だからです。今回20%還元に釣られて何度か買い物をしてみたのでその感想など。

■QRコード決済とは?

まずQRコード決済とはなにか簡単に。QRコードはご存じ2次元バーコードの1つです。スマホなどのカメラで読み取ってなにがしかの情報を取り出すことができます。QRコード決済ではこれを支払主あるいは支払先を識別するのに使います。どちらのQRコードをどちらのカメラで読み取るかについてはプラットフォーム毎に違います。後述のPayPayのように両方あるものも。例えば、
1) お店が提示している支払先を示すQRコードをユーザが自分のスマホアプリ内のカメラ画面で読み取り、言われた金額を打ち込んで決済する
2) 自分(支払者)の識別用コードをスマホアプリ上に表示させて店員に提示し、お店の機械でそれを読み取って決済(たいていは金額指定はレジ側で行うようです)
などの手順になります。引き落としはクレジットカードを紐付けて都度カードに課金することもできますし、プレイペイドカード的に事前に一定額チャージしておいてそこから引き落とすこともできます。
スマホがNFC(おサイフケータイやApplePay)に対応していない機種であっても利用できる点がユーザ側のメリット。同様にお店もNFCリーダー不要で設備投資が少なくて済むのがメリットです。特に1)の方式は印刷したQRコードを提示するだけなのでお店側はハードウエアも通信回線も不要ということになります。先行する中国などでは屋台やお寺のお賽銭箱みたいなところでも使われているそうです。

■PayPay使用感

私はキャンペーン初日にビックカメラに突撃しました。ビックカメラはキャンペーンと同時に加盟店となったので店員さん達としても初日で不慣れな部分もありましたし、サーバーがパンクしたりといったトラブルもありましたが、それを差し引いてもやはり「ステップが多くて手間だな」と感じました。ビックカメラでは上述の1)の方式なので、レジのあちこちに張り出してあるQRコードをスマホアプリで読み取ります。それ自体は割とすんなり読み取ります。次にレジに表示され口頭でも伝えられる支払金額を自分で入力します。これがいままでにない手間です。1円単位まで注意深く打ち込み念のため店員さんにも見せて確認してもらいます。大きな金額だと緊張しますし、逆にコンビニなどで細々した買い物の時にも煩わしく感じます。決済が終わると確認画面で決済番号というのが表示されるので、それを店員に見せて確認してもらいます。店員さんはその下4桁をレジに出るそれと照合しているようでした。これはビックカメラ特有、または1)手順の時だけのフローかも知れませんが、これもまたスマホを見せたりが面倒です。その表示がまた小さい!(写真)。明らかに見せることを想定したレイアウトではありません。だからといってスマホを手渡したりするのも落としたりしそうでちょっと嫌ですね。さらにさらに、3万円以上の買い物は身分証の提示を求められる場合があります(同じビックカメラでも求められる場合、求められない場合両方ありました)。

支払完了画面

はっきりいって「面倒くさい」のひと言です。店頭で対面取引をしているのに決済だけは銀行振り込みをしているような回りくどさがあります。20%還元という特典がなければわざわざ使う理由が見つかりません。0.5~1%程度の差なら還元率が低くてもクレカやIC決済でいいや、って感じです。またもしシニアである両親に聞かれても「やめておいた方がいい」と答えるでしょう。1)と2)で二通りの操作手順を使い分けられる気がしません。そもそも電子マネー全体でプラットフォームが乱立しすぎていて、店ごとになにが利用可能か確かめたり、店員にどのプラットフォームで支払いたいか伝える名前を覚えさせるのも一苦労でしょう。
現状では、あくまで非接触ICカードに対応していないスマホを使っている人、クレジットカードをもてない未成年、そして海外からの旅行者などでないと、支払う側として使用するメリットは感じられません。店舗側としては初期投資がほとんどかからず三年間は手数料も無償のため、今まで現金決済のみだった小規模店などが加盟するケースは一時的には増えるかも知れませんが、三年後NFC非対応スマホはさらに減っているでしょうし、店舗側にも手数料無料のメリットが消えた時、果たして生き残るだけの魅力が残っているのでしょうか。